小峰隆夫教授:アベノミクスを終わらせろ

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大正大学の小峰隆夫教授が、アベノミクスを終わらせるよう提言している。
非常時対応の政策は終わらせ、正統的な経済学にしたがって成長力向上・財政再建に注力するよう説いている。


アベノミクスは短期的な非常時用の政策だったといえる。
しかし、いまや日本経済はバブル期をも上回る長期の景気拡大が続いており、ほぼ完全雇用が実現し、物価も継続的なマイナス状態ではなくなった。
どうみても非常時ではない。

小峰教授は週刊東洋経済で、アベノミクスの全面的な見直し、「アベノミクス」の看板の廃止を提言している。
この提言には3つの理由がある。

  • 「アベノミクス」には「安倍政権ならではの思い切った経済政策」というニュアンスがあったが、目玉とされた実験的政策は「所期の目的を達成できていない」ばかりか、「副作用のほうが明瞭になりつつある。」
  • 非常時でなくなった今求められているのは「正統的な経済政策である。」
  • アベノミクスに含まれていなかった財政・社会保障の改革が重要課題になりつつある。

財政問題は経済問題でもある

とりわけ3番目の要素が看過できないのは、それが単に財政問題ではないからだ。
政権内で拡張的な財政政策を唱える人たちは、経済を立て直すとの大義名分で消費増税や社会保障の給付抑制を先送りした。
しかし、それがどれだけ功を奏したかは大きな疑問だ。

「現役世代は将来への不安を強めて縮み志向となり、それが消費を抑制するという悪循環に陥っている。」

国民がリカーディアン的な考えをする中、非ケインズ効果が財政刺激効果と拮抗してしまったのである。
今後も社会保障の負担が高まるだけでなく、「金融が正常化する段階では金利も上昇」し財政赤字は増え続ける懸念さえある。
若い世代の「縮み志向」は、現時点では正しい反応というしかない。
不安を払拭するには、口だけでなく実行をともなう説得力のある政策が必要だ。
小峰教授は、詭道から正道に戻ることを提唱する。

「長期的視点で成長力を伸ばし、併せて国民に負担を求めながら財政・社会保障の持続性を確保するという政策方向に進路を切り替えるべきだ。」

(次ページ: もはや戦後ではない)