海外経済 政治

大恐慌以来最悪の不況はまだまだ続く:ケネス・ロゴフ
2020年7月21日

ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授が、現在は財政政策の手を緩めるべきでないとしつつも、一方で現在の財政支出がフリー・ランチではないと釘を刺している。


「私たちはまだパンデミックと景気後退の真っただ中にいる。
市場にはV字回復すると考えている人がいるのは知っている。
しかし、刺激策が終わっていく前にもっと強い証拠が必要だ。」

ロゴフ教授がFOX Businessで、米経済の現状に危機感を示した。
教授は、現在が「大恐慌以来で最悪の景気後退」であり、まだまだ長く続くと予想している。

保守系メディアFOXがロゴフ教授をゲストに呼んだのは、空前の財政出動で急速に悪化する米財政についてコメントを求めるためだ。
むろん、局としてのトーンは財政悪化に危機感を示すものになっている。
これに対し、『国家は破綻する』の著書で有名なロゴフ教授のスタンスは、必要なお金は使うべき、で一貫している。
ニュー・ケインジアンでありながら、財政再建の必要性を説く姿勢が強いのは、今回のように必要な時に財政を使うためだからだ。

ロゴフ教授は、今年が選挙の年であることから、民主党はもちろん共和党も追加の財政支出に動くだろうと予想している。
教授は、財政悪化をもちろん心配している。
共和党が減税や軍事費、民主党は所得移転ほかに優先順位を置いており、それぞれ政権を取るたびにそれぞれの優先順位で支出が増え財政が悪化する。
こうした傾向が世界中で見られ、債務増大の一因になっているのだという。

現在金利はとても低いが、フリー・ランチと考えるのは間違いだ。
私がとても心配しているのは今行われていることではなく、これが終わった時に何が教訓とされるかだ。
回復しても今後5年間これを続けなければいけないという考えをする人もいる。
私は大きな間違いだと思う。

フリー・ランチでないことを理解しつつ、しかし、必要な時には惜しまず使う。
各国政府は今難しい決断を迫られている。
(ゆめゆめ効果の薄い大盤振る舞いやバラマキがないように願いたいものだ。)

FOXのキャスターがノーベル賞学者ユージン・ファーマ教授の興味深い発言を伝えていた。

『財政赤字は税金の一類型だ。
最終的には増税となり、加えてインフレ、米政府・債務負担の信認喪失を生み出す。』

米国の伝統的保守層らしい考え方だ。
日本経済を苦しめてきたリカーディアン的な生真面目さをアメリカ人も持ち始めているのだろうか。
もしもそうならば、米消費はこれまでの力強さを失い、米市場・経済も日本化を始めるのかもしれない。


-海外経済, 政治
-

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。