大クラッシュは異なる原因から訪れる:ラグラム・ラジャン

RBI(インドの中央銀行)総裁も務めたラグラム・ラジャン シカゴ大学教授が、世界経済が直面する危機について神の啓示のような発言をしている。
サブプライム/リーマン危機のリスクに誰よりも早く警鐘を鳴らした経済学者が、今、異なるリスクについてコメントしている。


「2008年よりレバレッジは拡大した。
でも、同じところにかかっているのではない。
銀行には当時ほどレバレッジはかかっていない。
一方、米企業セクターでは明らかにレバレッジがかかっている。
中国もレバレッジがかかり、もちろん各国政府もレバレッジが拡大した。」

ラジャン教授が印CNBC-TV18で、世界経済のレバレッジ拡大を指摘した。
サブプライム/リーマン危機はレバレッジ拡大による金融危機だった。
ドットコム・バブル崩壊後の停滞から脱するため供給された安いマネーが米住宅市場に向かい、住宅価格が高騰した。
審査基準の低いローン、またローンの証券化によってマネーがどんどん生み出され、世界から米住宅市場と関連する金融市場にマネーが流入した。
この過剰なレバレッジがサブプライム/リーマン危機の原因だった。
今回は、米住宅価格が高値圏にあるとはいえ、前回ほどのバブルではない。

レバレッジは2008年の大きな要因だった。
今は必ずしも良くなっていないが、異なる状態にある。


楽観派の言い訳は、政府のレバレッジは問題にならないというものだ。
最近の新興国を見る限り、それは当たらないようにも見える。
確かに、今回これまでに限れば、先進国でレバレッジの問題が顕在化している様子は見えない。
果たして、今後も問題は起こらないのか。

しかし、ラジャン教授にはもっと大きな問題意識があるようだ。

2つ目に、私が今日の大問題と考えるのは金融セクターでの熱狂(少し見られるが)ではない。
大問題なのは貿易と世界における投資だ。
私たちが十分に注意をしないと、古い世界の秩序が消滅してしまうと心配している。
そうなれば、国々が世界全体の利益ではなく自国の利益のためだけに行動しないようにする代わりのものはない。

覇権国家米国の凋落の可能性が否定できない。
かつてのような力がないから自国第一主義に走らざるをえない。
これが、国際社会が長年かけて作り上げてきたルールをご破算にしてしまう。
私たちは、金融バブルと国際秩序の喪失という2つの大問題を抱えている。
まさに、大恐慌後の時代とダブるところだ。

ラジャン教授は、今の世界はこれまでとは異なる世界だという。
そして、解決すべき問題は1つではないという。

大きなクラッシュがやってくると予想するかといえば、わからない。
しかし、(もしそうなるなら)それは異なる原因からやってくる。
単に古い問題を直すだけでは新たなクラッシュを防ぐことはできない。


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