中国人民元
 

多極化した世界には合成基軸通貨が必要:カーニーBOE総裁

マーク・カーニーBOE総裁が、複数通貨から合成されるデジタル通貨を基軸通貨とすべきと提案した。
多極化する世界経済が米ドルの影響を受けすぎているとの考えだ。


世界の準備通貨の変遷は、マネーの国際的機能の強い補完性(これは支配的通貨のポジションを強めるように働く)からいって珍しい出来事だ。
そして、真の準備通貨ステータスの最も高い可能性を有する候補、人民元がそれを引き継ぐまでには長い時間がある。

カーニー総裁がジャクソンホールで開催された経済シンポジウムで準備通貨について話をした。
準備通貨は長い時間をかけて変化しうるものだが、次の候補の一番手はまだまだ環境整備ができていない。
だから、別のものが必要だ。
世界経済は多極化している。
だから、準備通貨もそれに対応したものが望ましい。

結果、まだわからないのは、そうした合成基軸通貨(Synthetic Hegemonic Currency、SHC)が公共セクター、おそらく中央銀行のデジタル通貨ネットワークを通して、提供されるべきかどうかだ。

この部分が世界の一部投機家を驚かせた。
世界の中央銀行が個人・企業にもアクセスできる暗号資産を発行するようなアイデアに聞こえるからだ。
暗号資産の投機家にとって最も恐れるシナリオの1つは政府の参入だ。
ケネス・ロゴフ教授ジム・ロジャーズ氏らが、政府が暗号資産を駆逐する可能性に言及してきた。
政府の信用でデジタル通貨が発行されれば、暗号資産は通貨としての活躍の可能性を奪われ、結果、投機だけしか残らなくなる。
目玉だった宣伝文句を失った投機対象は、生ける屍へのカウントダウンを始めるかもしれない。


SHC構想にはアメリカ人も驚いたに違いない。
何で米ドルではいけないのか。
カーニー総裁はCNBCで米国への一極集中を理由に挙げている。

問題なのは、世界の貿易に占める米国のシェアが低下していること。
金融資産だけでなく、米国とは関係ない2国間の支払いの多くがドル建てになっている。

こうした不整合が存在する中で、世界の経済が米国の金融政策等に振り回される弊害が見えている。

「米経済は信頼され比較的強く良好だ。
FRBは正しいことをしてきており、政策を調整し、引き締め、強めてきた。・・・
これは、諸外国にとっては必要よりも引き締められてしまうことを意味している。」

概していえば、今は米経済が堅調で、それ以外が苦戦をする展開だ。
諸外国は金融緩和をしたいと願い、実際に実施しているが、FRBが金融引き締めを行えば、自国の金融緩和を打ち消す効果を及ぼしてしまう。

カーニー総裁は、諸外国の経済悪化は結局は米経済に跳ね返ってくると主張する。

多極化した世界では・・・多極化した通貨が必要なんだ。・・・
世界の通貨バスケットに広げれば、全体としてはよりよいシステムとなるだろう。
均衡金利の水準を引き上げ、中央銀行の政策を増やすことになる。
貯蓄のリターンを改善することになる。

カナダ中銀総裁を務めた後BOE総裁を務めるカーニー総裁の発言は如才ない。
しかし、これだけが本音ではないだろう。
通貨を盾に取る米国の外交政策への不満・牽制もあるのではないか。


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