海外経済

多くの人がとても楽しい時間を過ごす:ジム・ロジャーズ
2020年1月13日

ジム・ロジャーズ氏が、各国金融政策を批判する一方で、足元の相場が何を意味するかを解説している。


「みんな狂ってる。
いつか恐ろしい付けを払う時がくる。
でも当面はたくさんの人が大いに楽しむことだろう。」

ロジャーズ氏がロシア国営RTで、世界の主要中央銀行の金融政策を批判した。
同氏は、それが良くない結果を生むとしながら、それまでは市場が恩恵を受けると予想している。
いつまで良い時期が続くかは予見できないとしながら、終わりが来れば人生最悪のものになると従前の予想を継続した。

こうした「狂気」が続く理由を、ロジャーズ氏は解説する。
ワシントンの官僚や学者が自分の職を守ることに汲汲とし、唯一知っている対症療法である量的緩和を続けているためという。
ロジャーズ氏は解決法を知っているが、痛みをともなう手法となるためワシントンは採用しないという。
同氏の腹案は単純に、拡張的な金融・財政政策を元に戻せというものなのだろう。
破綻すべきものは破綻させ、縮小すべき経済は縮小させる。
そうすれば、再び経済が自律回復を始めるというのが、ロジャーズ氏のこれまでの信念であった。
確かに、とても不人気そうな政策だ。

そうした抜本策が採用されることがないなら、現在の状況は永遠に続いてしまうのか。
FRBはQE1をやめた後、QE2開始を余儀なくされた。
QE2をやめた後、QE3開始を余儀なくされた。
QE3をやめ「自動操縦」で正常化を図ろうとした後、事実上のQE再開に追い込まれた。
かつて恐れられたQEトラップは現実のものとなった。
政府・中央銀行が量的緩和(とそれにより可能になる財政拡大)をやめられないなら、経済・市場はQEトラップの中でいつまでもぬくぬくとし続けることができるのだろうか。

ロジャーズ氏は、いつか終わりが来るという。

最終的にこれを終わらせるものは何か。
市場が
『もういらない、もうこのゲームはいらない、もうこの紙屑はいらない』
ということだ。

ロジャーズ氏の抽象的な描写は至極当たり前の可能性であり、それだけに正しい。
市場が何らかの形で拒否を始めれば、今の状況は終わらざるを得ない。
金利上昇が1つの候補だが、中央銀行が腕づくで金利を抑え込むならインフレや通貨安になるのかもしれない。

いつになくロジャーズ氏はシリアスだ。

「もはや健全な経済学者は存在しないのだろう。
きっと新しい時代なんだ。
みんながフリー・ランチを欲しがり、みんなが量的緩和を望む。」

国民が政府や中央銀行におねだりをするのが当然の世の中になってしまったようだ。
かつて経済成長は政府や中央銀行の仕事ではなかった。
経済成長は民間が成し遂げるべきテーマであり、政府・中央銀行の仕事は身をかがめそのインフラを整えることであった。
しかし、多くの国が以前より成熟し成長率を下げてくると、人々はその責任を政府・中央銀行に転嫁するようになった。
結果、金融・財政政策は中長期を通して圧倒的に拡張側に振れるようになった。
そして、これは伝染する。

「世界中で巨大な象が量的緩和を行っている時、一部の中央銀行が引き締めを行うのは不可能だ。」

だから、先進国をはじめとして世界の金融環境は拡張的な状態が続く。
前2回のサイクル終期がそうであったように、この拡張的な環境がリスク資産を押し上げるのかもしれない。

ロジャーズ氏の予想もそちらに傾いているようだ。

終わりが来るまでの間は素晴らしい時期になるだろう。
それが今世界中で起こっている。・・・
最後には、市場が受け付けなくなるが、しばらくは多くの人がとても楽しい時間を過ごすだろう。

サイクル終期のメルトアップの特徴とは業績改善ではない。
人々が熱狂によって業績を度外視し始める。
そこで起こる壮大な金融相場なのだ。
ロジャーズ氏の予想の語り口は、こういうパターンとよく摺り合っているように響く。


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