外国為替市場を閉鎖しないといけない:アラン・グリーンスパン

アラン・グリーンスパン元FRB議長が、現行の計量経済モデルの限界を指摘している。
また、米政界で流行りのMMTについても質問を受けた。


「特に目につくのが資本ストックの回転鈍化だ。
理由はわからないが、回転速度は財務分析において極めて重要な統計だ。
なぜ変化が起きたのかはいつもわかるわけではないが、とにかく変化が起こった。」

グリーンスパン氏がBloombergで近年の経済の変化に首を捻っている。
何か経済で変化が起こっているようでも、その理由が明確でない現象が目に付くためだ。
その最たるものが、社会保障負担と財政刺激策による米財政悪化とインフレの関係だ。
本来なら、今はインフレが心配される状況のはずだが、逆に2%インフレ目標さえ下回っている。

「失業率とインフレの両方が上昇すると、歴史的にはスタグフレーションに突入するものだ。
今はそのいずれも起こっていない。
現在のシステムは、過去のデータと紐づけするのがとても難しくなっている。」

グリーンスパン氏は、現行の計量経済モデルだけで適切な経済政策を企図することができなくなっていると指摘する。
計量経済モデルの抜本的な改善がないと、多くの不可思議な現象を説明できず、的確な予想も難しいためだ。


グリーンスパン氏は、現在、米政界で最もホットな話題となっているモダン・マネタリー・セオリー(MMT)についてもコメントを求められた。
MMTでは、自国通貨建ての債務で財政赤字を補う国はいくら債務が拡大しても心配ないと説く。
グリーンスパン氏は鼻で嗤いながら言い捨てた。

外国為替市場を閉鎖しなければいけないね。
どうやって為替交換すればいいのかね。
そんな方法が可能なら、みんな自国通貨から逃げ出そうとするだろう。
そんなことは起こらない。

なぜグリーンスパン氏は債務の話から為替の話をし出したのか。
MMTの主張の本質とは、国家の債務を法定の増税によって返済するのではなく、通貨増発で賄おうというものだ。
これは後に大きなインフレを生み出す。
つまり、法定の増税はしないが、将来の高インフレ、換言すれば《インフレ税》を課そうというわけだ。
高インフレは大幅なドル安を暗示し、ドルからの逃避を促す。
そこには中国のような資本規制が必要になるとグリーンスパン氏は言っているのだ。

同様のMMTへの否定的コメントは、ジェローム・パウエルFRB議長が議会証言でも述べている。


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