アスワス・ダモダラン ニューヨーク大学教授は、株価評価で苦戦をしてきたテスラについて再度評価に挑戦している。
「私が2020年1月にやらかしたように、ある銘柄の株価が10倍になるまえに売ってしまうのを、あなたは投資犯罪と考えるかもしれない。
でも、だからといって私は犯罪現場を再訪するのをやめない。」
《バリュエーション学長》の異名を持つダモダラン教授が9日ツイートした。
教授は同日、テスラとその株価について包括的な考察・株価評価を公表しており、そのエッセンスをツイートしたものだ。
ダモダラン教授はテスラ株価のバリュエーションを検証し続けてきた。
当然ながら概して割高との結論だったが、2019年6月についに買いのチャンスが来た。
教授はテスラ株に投資し、2020年1月に売却するまでに3倍超に上昇した。
ただし、その後さらにテンバガーを実現したのは既報のとおりだ。
ダモダラン教授は、コロナ禍等がテスラ等の若い企業に有利に働いたと指摘する。
教授は、その変化の主役がテスラだと述べている。
実際、コロナ禍と今ではテスラは「より大きなストーリー、より大きな価値」を持つようになったと評価している。
ただし、企業の良しあしと株価に基づく金銭的評価とは全く別物だ。
ダモダラン教授は1兆ドルの時価総額をファンダメンタルズに基づき評価・検証している。
この銘柄に投資するには、この会社についてゴジラのようなストーリーが必要になる。・・・
将来を極端に楽観(売上4,000億ドル、当期利益率16%)するにしても、現株価に近い数字は出にくい。
テスラ株については、イーロン・マスクCEOの独特の行状の影響も大きく受けている。
同氏は最近も自身が保有する同株の10%の売却の是非についてツイッターでアンケートを行い、結果に従うと表明していた。
結果は賛成が58%。
これを受け同株は8日に4.8%下落、9日に11.9%下落した。
株価下落の過程では、マイケル・バーリ氏のツイートが効いたとの観測も囁かれている。
同氏は、マスク氏がテスラ株の売却を検討する理由を含み益課税への準備、飢餓撲滅への寄付、テスラ株担保による個人借入の返済資金と推測したという。
(11月11日加筆:
マスク氏は8日にテスラ株2.15百万株相当のストック・オプションを行使し、追って保有株の一部を売却している。
株式売却の理由は、ストック・オプション行使にともなう納税資金の捻出だという。)
いずれにせよテスラ株はファンダメンタリスト泣かせの銘柄だ。
短い期間を除きテスラ株について読み違いの多かったダモダラン教授は、この銘柄の性格をわかりやすく語っている。
テスラを理解する1つの方法は、それを投資ではなくトレードと考え、ファンダメンタルズではなくムードとモメンタムの変化とともに株価が動くと説明することだ。
浅い瀬を航行しお金を儲けることができるなら、大成功するだろう。