投資

回復不能なミスを回避しろ:モハメド・エラリアン
2020年9月30日

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、レンジ相場を思わせる展開について解説し、そこに潜む落とし穴を警告している。


話は単純な綱引きなんだ。
一方では、ファンダメンタルズ改善のドライバーが失われ、経済回復は力強くなく、政策では財政政策による対応が行われず、FRBはそのナラティブを制御できていない。
もう一方では、まだ強い押し目買い心理が存在する。
今のところ株式に代わるものはなく、みんな再び取り残されるのを望まない。

エラリアン氏がCNBCで、方向性の定まらない米国株市場の力学を解説している。

押し目買い、TINA(他に選択肢がない)、FOMO(取り残される恐怖)の組み合わせが弱まるファンダメンタルズ・弱まる政策支援とせめぎ合っている。
大きな希望となっているのが、レンジ相場を続けてくれるのではということ。
特に下方については、政策対応が今後数週・数か月のうちになされるのではとの期待がある。

この日のエラリアン氏は、市場に様々な切り口で存在する2つの相反する力での説明に終始している。
投資家のスタンスも、ファンダメンタルズを分析するか、市場の挙動を見るかによって真逆になってくるという。

  • 「分析」: バリュエーションを尊重すべきで、最終的にはファンダメンタルズが重要。
  • 「挙動」: 市場は押し目買いを条件付けされており、逆を行くのは難しい。

結果、比較的短期の動きに賭ける「戦術的投資家」にとっては、現在は「素晴らしい環境」だという。
押し目買いの逆を行くのが難しい状況だからだ。

もっとも、エラリアン氏は短期トレーダーではない。
長期、ファンダメンタルズ重視の「戦略的投資家」だ。
(注: ここでの「戦略的投資家」は事業会社等を指すものではなく「戦術的投資家」の対義語。)
かねてからエラリアン氏自身が自認している。
したがって、同氏をもってしても、コロナ・ショックからの回復期には相場を見誤る局面があった。

「私は失敗した。
7月、私はファンダメンタルズを心配しすぎて市場から退いてしまった。」

しかし、エラリアン氏にはそれほど後悔するそぶりもない。
相応の信念があって採った選択肢だったのだろう。
同氏は、米中を比較してコロナ禍への対応の難しさを解説している。
中国のように人々の自由よりウィルス問題解決を優先できる国なら、中国のように比較的早く問題を収束に向かわせることができるだろうという。
しかし、自由社会ではそうはいかない。

エラリアン氏は今も市場より慎重なスタンスを続けているようだ。
それは、問題解決の難しさが金融市場における明確な現象を引き起こしかねないためだ。
同氏は「回復不能なミスを犯さないこと」こそ投資家の最重要課題だと説く。

ほとんどのミスは回復可能だが、本当に問題なのは回復不能なミスだ。
つまり、デフォルトや資本の減耗だ。
だから、何に投資するにもバランスシートがあることを忘れるな。
それこそ時間が癒してくれないミスになるんだ。


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