合意はしないがそれでもジャック・ボーグルは偉い:ロバート・シラー

ロバート・シラー教授が、故ジャック・ボーグル氏への反論と尊敬を語っている。
教授とは真逆の信念を歩いた人だが、その人生には尊敬を禁じ得ない凄味がある。


ジョン・ボーグルは、市場を打ち負かそうとするのは無益なことと信じていた。
私はそれに同意しないが、それでも彼を尊敬している。

シラー教授がBloombergで、今月16日に亡くなったボーグル氏について経緯を表した。
教授は、市場を打ち負かそうとしても無駄という(効率市場を前提とした)ファイナンス理論の結論に同意できないと表明している。
理由は少なくとも3つあろう。

1つはシラー教授がノーベル賞を受賞する理由とされた資産価格についての実証研究だ。
教授は、過去の実際のデータから、資産価格がしばしば理論的にありうる範囲を逸脱することを示した。
つまり、効率市場という前提は現実には成り立たないのだ。

2つ目はボーグル氏が切り開いたインデックス投資が、ボーグル氏が「無益」としたアクティブ投資によって支えられている点だ。
市場が効率でないにせよ、よりそれに近づけているのは、アクティブ運用者の「市場を打ち負かそうとする」努力に他ならないのだ。
このため、シラー教授は以前「パッシブ運用はただ乗りの擬似科学」とこき下ろしたことがあった。
インデックス投資に代表されるパッシブ投資は、アクティブ運用者の努力の上に成り立っているのだ。


3つ目は、すべてのファンドが低コストでなければならないわけではない点だ。
ボーグル氏は、低コストの優れたファンドを大衆に提供することに人生を捧げた。
それは、尊いことだが、だから高コストのファンドを否定すべきでもない。
シラー教授はProject Syndicate

「問題なのは、これら(さまざまな金融商品)市場への注目においては、知的で勤勉な人材が投資の手助けをすることが必要なのだ。
・・・そして彼らに報酬を払う必要がある。」

理論はともかく現実を見る限り、シラー教授の反論が優勢のように見える。
ではなぜ教授はそれでもボーグル氏に敬意を表するのか。

ボーグルがバンガードを1975年に設立した時、彼はこの会社を非営利として設立した。
会社は外部株主を持たず、すべての利益は手数料を下げるために還元され、配当はなかった。

これほどの成功を収めたファンド創業者でありながら、推定資産額は80百万ドルと極めて小さい。
PIMCO時代のビル・グロス氏は、債券ファンドの運用者でありながら単年度で2憶ドルをとっていた。
ボーグル氏は、自身がとってもおかしくない利益を広く投資家に分け与えたのだ。

「それでもボーグルは私のヒーローの1人だ。
彼は正直な商品を提供し、人を助けたいという真摯な願いによって行動した。
彼はみんなにとってもヒーローだ。
市場が最後には完全性を認識すると示したからだ。」


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