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原油は80ドル程度まで上昇する:デニス・ガートマン

コモディティ王とも呼ばれたデニス・ガートマン氏が、原油価格、インフレの先行き、FRBの金融政策正常化についてコメントしている。


重要なのは、バックワーデイションが拡大し続けている点だ。・・・
バックワーデイションが拡大し続けているうちは、それが示すのは、価格が上昇し続ける方にお金が賭けられているということだ。
どこまで上がるかといえば、1バレル80ドルを超すとは考えにくい。

ガートマン氏がBloombergで、上昇を続けてきた原油価格がさらに上昇すると予想し、安易にショートすべきでないと警告した。
同氏は上昇を予想するもう1つの理由として、WTIとブレントのスプレッドが縮小しており、WTIの方が高くなる可能性がある点も挙げている。
コモディティ王によれば、これも原油価格上昇の兆しなのだという。

ガートマン氏は、原油先物価格の期間構造に対するFRBの考えは間違っていると言い切る。
FRBは、期先の価格が低くなるバックワーデイションを、将来価格が低下する兆しと見ているが、これは誤りだという。
これが、FRBのインフレへの見方を危うくしているという。

私は逆に、原油価格上昇が、FRBが引き締めに向けて動く理由になると考えている。
それが、FRBによる金融引き締めの見方を数か月前に進めたと考えているが、FRBが実際に行動しFF金利を25 bp引き上げるのは来年終わり頃になるだろう。

(参考: 前回の金融政策正常化

ガートマン氏は原油価格がまだ上昇すると予想しているから、それがまだしばらくインフレ圧力になると考えている。
FRBは原油価格が低下に向かうと見ているので、金融政策正常化の動きは(ガートマン氏が適切と考えるより)遅れるという読みになる。

ガートマン氏は、原油価格上昇が経済回復に与える影響を尋ねられ「有害」と答えている。
原油価格上昇が他の財・サービスの価格に上昇圧力を及ぼしているという。
同氏の頭の中にインフレを望むというマインドはない。
これは、すでにインフレやインフレ期待が十分高まっていることもあろうし、ガートマン氏がニューケインジアン的な考えの持主でないことなどによるものだろう。

ガートマン氏は原油価格上昇にともなうガソリン価格上昇を有害と見るものの、ガソリン価格が1ガロンあたり4ドルを超えて上昇しない限り、悪影響は極めて小さなものに留まるという。

「(4ドル上昇は)起こりうるが、私は疑っている。
しかし、消費者心理に長い期間にわたって有害となろう。」

興味深いのは、米国も世界屈指の産油国なのに、ガートマン氏が原油高を有害と考えている点だ。
シェールを巡る社会環境は大きく変化したのだろう。
ガートマン氏は、断片的な見方・ファクトしか述べず、それらが総合的に何を意味するのか語っていないが、言及された見方・ファクトを復習しておこう。

  • 原油はまだしばらく上昇すると予想。
  • 原油高が物価上昇圧力を生む。
  • それが消費者心理を悪化させる。
  • インフレ期待・インフレ圧力は5月の最初の2週以降急激に後退した。
  • インフレ懸念後退は何かの先触れ。

市場にはFRBと同様インフレを楽観する側、インフレを懸念する側が存在し、5月までは後者、それ以降は前者が優勢のように見える。
FRBが金融政策正常化により積極姿勢を見せた今、前者優勢はいっそう強まったように見えている。


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