危険が迫ってもAチームはいない:ケネス・ロゴフ

元IMFチーフ・エコノミスト ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授が、金融危機の再来を心配している。
何か危機的なことが起これば、今の世界ではそれに対処できる体制が整わないのだという。


「ツールは改善している。
各国中央銀行はみなすばらしい、優秀な人材が揃っている。
世界を見渡して何が起こっているかを見ると、問題に対処すべきAチームが存在しないことがわかる。」

ロゴフ教授がBloombergで先進各国の政府の弱体化を嘆いた。
それぞれ大きな問題を抱えており、危機対応のリーダーシップを取れる国が見当たらないのだという。
本来ならリーダー役は米国であるはずだった。

「私は政治には無関心だが、トランプ政権の最初の2年大きな危機はなかったものの、それはトランプ政権自体を除いた場合の話と言わなければいけない。
そして何か対処できるかわからないことが起こりつつある。」

リーダーが自国第一主義を唱え国が割れている米国に、世界のリーダー役は期待できないだろう。

「もう1つの大きな金融セクターは英国だ。
橋から飛び降りるような状態で、危機なんてものじゃない。」


国際的で大きな金融市場を有する米英の政府が機能を停止してしまっている。
何かショックが起これば、世界の金融市場は本来あるはずの回復力さえ発揮できないかもしれない。

「私が心配しているのは、仕組みとしてはシステムはより安全になったが、結局は金融危機は予想できないものであり、起こるかどうか、どう対処すればいいかわからないということなんだ。」

ロゴフ教授は、かねてから心配してきた中国経済について尋ねられると、含蓄の深い話をしている。

これは総需要の話ではない。
政府が刺激策を講じて終わる話ではなく、生産性の話なんだ。

高度成長を終えた経済がつまづいた時、景気刺激策が望まれるのは必然だ。
しかし、金融政策にしても財政政策にしても将来の需要の前借りにすぎない。
金融緩和をしたらいつかは引き締めなくてはならない。
財政政策を打てばいつかは増えすぎた借金を減らさなければならない。

今の中国は1990年の日本と似ているのかもしれない。
財政政策を支持する人は多いが、それが問題の本質なのか。
ちなみにロゴフ教授はニューケインジアンの1人とされている。

政府が極めて中央集権的権力を持っている国家が経済を脱中央集権化しようとしている。
・・・
歴史的に見て極度に中央集権的な政府と動的な経済の組み合わせはうまくいかない。
生産性が鈍化してしまうんだ。


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