円高派が着目するのは政治要因
一方、世の円高予想派のほとんどは政治要因を根拠にしている。
新大統領が円安を容認するはずがないというものだ。
例えば、榊原英資氏や佐々木融氏が円高を予想している。
クリントン政権開始時、金利差など関係なく円高が進んだ時、日銀で介入事務を担当していたのが佐々木氏。
その後の超円高をローレンス・サマーズ財務長官(当時)とともに円安方向に戻したのが榊原氏だ。
金利差を無視した為替変動を肌で経験してきた人たちからすれば、政治要因を無視して為替予想などできないということだろう。
年内にも長期金利ターゲット引上げか

現在の長期金利ターゲットはゼロ%。
今後、インフレが上向いて1%、2%へ向かえば、実質長期金利は-1%、-2%と低下する。
10年という長い期間の実質金利としてこれほど大きなマイナスが適切かとの議論が当然起こるだろう。
仮に実体経済があいかわらず不発だったとしても、金融経済は敏感に反応してしまうはずだ。
そうなれば、思わぬところで資産価格が人為的な高騰に見舞われてしまう。
また、日銀が長期金利ターゲットを高めておけば、FRBが利上げを急ぐ理由の一つと同じように、「切ることができる『追加緩和のカード』を手に入れることができる」。
「もしFRBの再投資減額が前述のように年内に始まるようなことがあると、米長期金利の上昇が日本に波及して10年金利をゼロ%近辺に維持することが容易ではなくなってくる。
その場合、日銀はそれを言い訳にしつつ、年内に10年金利誘導目標を引き上げる可能性が出てくる。」
二国間の金融市場は為替市場を通してつながっている。
金融政策や金利水準とは大きくはダイバージェンスしにくいのだ。