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創造的、目新しく、強いことが必要:ロバート・シラー

ロバート・シラー教授が、コロナ・ショックからの脱出法について触れている。


どちらにも転びうる。
原油価格下落は破滅的だが、一方で原油高は最大級の景気後退の引き金を引いてきた。
1974-75年の景気後退、 1980-82年の2度の景気後退など、石油ショックの時代だ。
現在、安い石油がふんだんにあるのは良いニュースだ。

コロナ・ショックに原油安のショックが重なった9日、シラー教授がBloombergで原油安の影響についてコメントした。
原油が下がってこれほど大騒ぎするのは、日本人にとっては理解しがたいところがある。
アメリカ人が原油安で騒ぐのは、主要産業である石油産業(シェールを含む)が打撃を受けるからだ。
米市場が原油安でこうも騒ぐのは、関連セクターがジャンク債などの資金調達手段を多用しているからだ。
格付の低い米社債では、米国債利回りの低下にもかかわらず、利回りが上昇している。
これは、ジャンク債等の新規発行が難しくなり、デフォルトのリスクが増すことを意味する。

さすがシラー教授、産業・市場側のバイアスに流されることなく、原油安の良い面も見据えている。
米国という車社会においては、原油安は大きな恩恵でもある。
それでも昨日の米市場では、原油安は悪いこととだけ受け取られてしまった。

「米国は少し(地域を封鎖した中国・イタリア等と比べ)遅れているように思える。」

コロナウィルスに対して政府は何をすべきかと尋ねられて、シラー教授は政府対応の鈍さを指摘した。
確かに、トランプ大統領は不安を掻き立てたくないためか、対応に消極的とさえ見えるところがある。
シラー教授は、国民が信じられる強いメッセージを出すべきと主張した。

「1つ信じられるのは金融政策だと思う。
前回の景気後退、2007-09年のグレート・リセッションでそう認識されているからだ。
金融政策の国際協調が事態の悪化を防ぐのに役立つだろう。」

シラー教授は、金融政策が危機を予防することはできないかもしれないが、過酷さを和らげることはできるはずと語る。
利下げ余地はほとんどないが、量的緩和での買入れ対象を広げる可能性はあるという。
それが人々に対して説得力のあるものでないといけないと注文を付ける。

何か創造的で違う響きのあることでないといけない。
見た目が重要だ、ナラティブが重要だ。
何か強いことがなされているように見えないといけない。

日銀の黒田総裁が就任したての頃、サプライズ重視の対話を用いたのは有名だ。
しかし、その実現可能性・説得力が十分でなかったために、言葉はどんどん力を失っていった。
通常のフォワード・ガイダンスでさえ、割り引いて聞くのが当たり前になってしまった。
これを挽回するのは難しい。
FRBもたびたびコミュニケーションの問題を指摘されている。
今月のG7では何の結果も出せなかった。
政策の側に期待するのは果たして意味のあることなのだろうか。


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