前回の危機前より今の方が悪い状況にある:ポール・クルーグマン

ポール・クルーグマン教授が、2年以内の景気後退入りを心配した。
前回ほど深刻な危機にはならないとしたものの、ある理由から油断はできないという。


「FRBの金利正常化は全くデータに基づいていない。
いつも『インフレが物価目標を超えないように、先にこれをやらなければいけない』と言う。
でも、インフレがどこにあると言うんだ。」

クルーグマン教授がBloombergに語った。
教授は、FRBが利上げを継続すべきでないとし、実際に利下げに転じる確率も高いだろうと予想している。

クルーグマン教授は、市場の関心事である景気後退の到来についても予想を求められている。

「断言はしないが(米国が2年以内に景気後退入りする)可能性はかなりある。
小さな問題が蓄積しており、背景には良い政策対応が残っていないことがある。
FRBはたいして利下げできない。
財政政策で対応しようにも、現政権が迅速に行うとは期待できない。」


クルーグマン教授が今後2年内の景気後退入り確率を高く見たとの話は多くのメディアで紹介された。
しかし、インパクトを与えはしなかったようだ。
教授の短期的予想能力の欠如はすでにコンセンサスになっている。
トランプ大統領誕生時、教授は市場の反応とは逆に、米経済が深刻な低迷に陥ると予想した。
しかし、結果は真逆。
トランプ大統領から「フェイク・ニュース大賞」を贈られる始末だった。
こんなこともあって、今回の予想もほとんど説得力をもって取り上げられることがなかったのだ。

クルーグマン教授は、次に来る危機とサブプライム/リーマン危機の比較を求められている。

「明らかに(前回の危機より)悪い状況にある。
前回危機が始まった時は金利は明らかにゼロより高かった。
利下げの余地は十分ではなかったが、余地は大きかった。
前回の危機突入時には公的債務ははるかに少なかった。
これは客観的には大きな要因ではないが、心理的な要因だ。」

財政積極派のクルーグマン教授は、公的債務の拡大を問題視したくない。
だからそれを本質的な問題でなく心理的な問題に分類したのだ。
それが正しい扱いなのかは定かでないが、結局は問題であるならば分類など意味はない。

クルーグマン教授は、次の危機が前回の危機ほど大きなものにはならないと予想する。
しかし、それで安心すべきではないという。
危機の収拾の段階でまごつくことが心配されるからだ。

「前回の危機突入時には米政権のリーダーシップはかなり優れていた。」


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