前回の危機の前と同じぐらいみんな心配している:ロバート・シラー

ロバート・シラー教授が、足元で前回の危機前と同程度、景気後退への危機感が高まっている可能性を指摘した。
現状、消費主導で良好な状態を続ける米経済だが、ナラティブは移り気なのだという。


無料サイトGoogle Trendsを見れば、他の人が何を最近ウェブで検索したかがわかる。
『景気後退』を調べると、金融危機直前の2007年に急上昇し、今2019年にも上昇している。
同じような大きさの上昇だ。

シラー教授が加BNN Bloombergで、ナラティブをうかがい知る1つの簡単なやり方を紹介した。
Googleにおける「景気後退(recession)」の検索回数の推移を調べると次のグラフのようになる。
確かに今年に入って急上昇していることがわかる。

Googleにおける「recession」検索回数
Googleにおけるrecession検索回数

これは、ナラティブの強さをあるデジタルな数字で見ているともいえる。
この傾向からある仮説が浮かんでくる。

「そこで、みんなが心配しているのではないかと考えることになる。・・・
まだそうなっていないが、みんな支出を控えて、景気後退を招いてしまうのではないか。」

シラー教授は、こうしたナラティブの急拡大にはマス・メディアの存在も大きいという。
メディアは一瞬にして多くの人に同じ行動を促す力を持っているためだ。
メディアがナラティブの伝染に寄与していることには歴史的傍証があるのだという。


「ニュース・メディアができるまでは、重大な投機バブルは発生していなかった。
最初の新聞は1600年代初頭にオランダで生まれた。
そして最初のバブル、チューリップ・バブルが起こった。」

シラー教授は、現在の米国で支配的ないくつかのナラティブについてコメントしている。

  • 消費支出を促すナラティブ: 大統領の態度も一役かっている。
  • 債務レベルのナラティブ: 借金への恐怖から、住宅市場の回復が緩慢。
  • FRBを責めるナラティブ: 「(FRBの)信認を破壊する危険」。
  • AIが仕事を奪うナラティブ: 今のところ消費を悪化させるには至っていない。

シラー教授は、ナラティブがそのインパクトを時間とともに変化させることがあると指摘している。
有益なナラティブも有害なナラティブも、時間とともに強力になったり微力になったりする。
足元の米経済が消費主導で好調だとしても、あっという間に違う風景になる可能性も否定できないのだという。

ナラティブをうまくコントロールできないのかと問われると、シラー教授は難しい表情を見せ、用心が必要と答えている。
すでに公人の中には本能的にそれをやっている人があるが、人々の受け取り方を思うようにコントロールできる保証はない。
1つ間違えれば、数年に渡って間違った観念を植え付けかねないと警告した。

シラー教授は、経済学者が以前よりはるかに多くのデータにアクセスできるようになったと指摘する。
こうしたデータを用いて経済学を進歩させる上での課題を語っている。

みんな、人間を考える上でより豊かさを見るようになるだろう。
以前のような単純なモデルではなくなる。
でも、経済学者が新しいデータをより有効に利用できるようになるまでにはまだ数十年かかるだろう。


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