海外経済 投資

利益蓄積の恩恵を受けるには:バイロン・ウィーン
2021年7月20日

ブラックストーンのバイロン・ウィーン氏は、米経済にインフレが戻ってきたとし、また、社会の分配に変化の兆しがあることから、今後の株式リターンが低下するとの見通しを述べた。


私たちはインフレが戻ってきたと考えている。
一過性とは思わない。
1970年代のタイプのインフレになるとは思わないが、明らかに深刻なインフレが戻っている。

ウィーン氏が第3四半期のウェブキャストで、インフレの到来を主張した。
同氏はインフレの要素を3つ挙げ、うち2つが粘着性が高いと指摘する。
3つとは、コモディティ価格、家賃、賃金だ。
コモディティ価格こそ水ものだが、あとの2つは、一度上がったら極めて下がりにくいと話した。

ウィーン氏は、これまで異常な時代が続いてきたと話す。
なかでも1982-1999年は異常さが顕著だったという:
・労働分配が低下
・企業収益が拡大
・金利が低下

米経済史において、20年にわたり金利が低下し企業収益が増加したことはなかった。
この結果、その間に莫大な利益蓄積が進んだ。
しかし、この利益蓄積を享受するには、株式市場に投資するか、家を保有するしかない。

十分な所得のない人たちが利益蓄積の恩恵を受けられず、格差が拡大した。
ウィーン氏は次の時代に格差問題の解決を図らなければならないと話すが、同時にそれが極めて難しい課題になるのも認めている。
取り残された人たちに恩恵を届けるには、手の届く家を買えるようにする、労働分配を増やすなどが考えられるという。
もしもそうした取り組みが進むなら、企業収益には重しになる。
結果、企業収益の拡大ペースは鈍化するだろうという。

もちろん悪いことばかりではない。
消費性向の高い中・低所得層が恩恵を受ければ、消費が増え、企業業績や株式市場にプラスとなるからだ。

みんなこれまで、何もリスクがないかのように、株式市場に投資してきた。・・・
経済状況はあまりも順風で、私はすぐに弱気相場が来るとは思わない。
しかし、今後の市場で儲けるのは難しくなるだろう。

では、現在の株価水準(S&P 500の19日終値は4,258.49)をウィーン氏はどう見ているのだろう。
同氏はいつものようにDDMモデルによる早見表を使って説明している。

バイロン・ウィーン氏のDDMテーブル(出典: ウィーン氏プレゼンテーション資料より抜粋)
バイロン・ウィーン氏のDDMテーブル

ウィーン氏はS&P 500のEPSを225ドルと予想しているという。
長期金利を1.25%とすると、同指数はゆうに6,000を超え、現状を大きく上回る。
ウィーン氏は、市場が長期金利を1.25%でなく2.00%と見ていると解説する。
足元の低い金利は一時的なもので、正常化すれば2.00%まで戻るとみて織り込んでいるという。
確かに、2.00%とすると、現在の株価水準と擦り合ってくる。
同氏は、いつものように、いつ調整が入ってもおかしくないとしつつ、現状がフェア・バリューと考えている。

長期金利が2%を超えると、2.5%になると、市場は脆弱になる。
金利は間違いなく2%まで上昇すると予想しており、市場価格はフェア・プライスだと考えている。
ただし、割安ではない。


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