ブラックストーンのバイロン・ウィーン、ジョー・ザイドル両氏が第3四半期のウェブキャストを行った。
私はまだ、米国が景気後退を迎えると考えている。
マイルドなものかもしれない。
ウィーン氏が四半期定例のウェブキャストで話した。
市場やFRBにはソフトランディングやノーランディングを予想する人が増えているが、ウィーン氏らはそう考えていない。
景気後退の時期が後倒しになっているにすぎないとの考えだ。
ザイドル氏はこのウェブキャストに先立ち、金融政策の効果のラグについての書簡を公表している。
そこでは、民間部門の債務への依存が減っているために、利上げの影響を受けにくくなっているとの分析が示されている。
結果、景気後退の時期が後倒しになったとの解釈だ。
ウィーン氏はいつものようにS&P 500の配当割引モデルに基づく株価マトリックスを提示している。
FPではこれを「魔法のDDMテーブル」と呼んできた。
決して株価を予想するものではなく、所与のEPSならびに長期金利とDDM上均衡する株価を示したものだ。
「現在市場はEPSについて今年を220、来年を240と織り込んでいる。
その水準に達する場合、現在の10年債利回りの水準3.90%に対してかなりフェアな値付けということになる。」
今月に入って10年債利回りは4%台に乗せているから、やや割高に見えなくもないが、まあ均衡近くと言えるだろう。
バイロン・ウィーンの魔法のDDMテーブル(2023年8月、抜粋)
このテーブル自体は均衡点を示すにすぎない。
しかし、これにEPSや金利についての予想を組み合わせると、株価の予想になる。
実際ウィーン氏は景気後退を予想することから、現株価が割高と見ているようだ。
私たちは企業利益が期待外れになると考えている。
200ぐらいまで落ちるかもしれない。
その場合、債券と株式が等しく魅力的になる均衡点は4,000を割り込むことになる。
金利水準から言えば、市場の値付けは魅力的でないことになる。
唯一これが良く見える理由は、リスク・プレミアムが縮小しているからだが、経済が期待外れとなれば拡大すると考えている。
ザイドル氏はチャンスのある分野としてプライベート・クレジット、原油・エネルギー・コモディティ、AI関連などデータセンターを挙げた。
(ただし、資産クラスごとにエントリーのタイミングは異なるようなので注意を要する。)
ウィーン氏は不動産産業の二極化を指摘している。
住居・データセンター・倉庫が有望とする一方、商業モール・オフィスビルは魅力がないという。