海外経済 投資

ブラックロック 利上げ織り込みは過剰、米欧株式を短期上方修正:ブラックロック

ブラックロック・インベストメント・インスティテュートは、クレジットへのスタンスを下方修正し、米欧株式について短期で上方修正したと公表している。


ウクライナでの対立、各国中央銀行がインフレ退治のために急ブレーキをかけるリスクの減少が大きく明らかになったため、株式についての短期的見方を上方修正する。・・・
市場の注目はインフレ・経済成長・中央銀行の政策に回帰するだろう。

ブラックロックが週次コメンタリーで、クレジットへのスタンスを下方修正し、米欧の株式を上方修正している。
「ロシアと西側の対立」は長期化するとしながら、市場からの注目は薄らいでいくと匂わせている。
クレジットより株式でのリスクテイクを選好するという。
また、国債も弱気を継続し、現状のインフレと市場の利上げ織り込みのバランスを理由に挙げている。

「米国では、市場は予想される金融引き締めを前倒ししてきた。
しかし、累積の利上げ(予想)はほとんど変わらず、40年来の高水準にあるインフレへの対応としては歴史的に控えめなものになっている。
このため、私たちは短期・長期の両方で国債のアンダーウェイトを継続する。」

市場が織り込む米利上げサイクルの終点は2%程度、FRBでも2.5%程度だ。
インフレが7%台にある中で(ある程度はインフレの自律的低下もあろうが)この名目金利は持続可能だろうか。
あるいは、7%台のインフレをこの名目FF金利で押し下げることができるだろうか。
どちらかでもNoとなるなら、金利は上昇することになり、国債への逆風となる。
程度の差こそあれ、これは少なくとも長期ではコンセンサスであろう。

ところが、株式市場の話になると、市場による利上げ織り込みについてのブラックロックの見方はニュアンスを変える。

利上げに対する市場の期待は過剰となり、株式でのチャンスを生み出したと信じている。

一見、国債と株式で相反することを主張しているようにも見えるが、そうとも言えない。
国債への弱気継続は短期・長期なのに対し、今回の株式の上方修正は短期とされているからだ。
利上げの終点について市場が過小評価しているなら、足元の名目金利は低すぎることとなり、これは株式に有利だ。
仮に今後上昇が避けられないとしても、足元ではそれを凌駕するインフレが存在し、実質金利は記録的低水準と、これも株式に有利だ。
国債に弱気なのも、株式に強気なのも(少なくとも相対的な話としては)理解できる。

ブラックロックは、各国中央銀行がタカ派になり切れないと見透かしている。

これらすべては、経済のファンダメンタルズが大きく変化することのない間に起こっており、リプライシングは過大と考えている。・・・
まだ潜在成長率に達していない経済においては経済成長・雇用に大きなコストが発生するため、各国中央銀行はインフレ抑制を超えることはないだろう。

もとより中央銀行にインフレ抑制を超える引き締めの意思はない。
問題は、インフレ抑制を実現しつつ最小限に留める匙加減の難しさにある。
ブラックロックが今回株式について上方修正したのは短期。
一方、同社は従来から長期についてオーバーウェイトとしている。
ブラックロックはある意味ソフトランディングに近い展開を見込んでいるのだろう。


-海外経済, 投資
-, ,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。