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利上げ前倒しのサプライズ:ジェレミー・シーゲル

ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授がFRBの金融政策正常化について、市場にショックを与えうるリスク・シナリオを挙げている。


デルタ変異種により(パウエル議長によるテーパリング公表が)遅れると言う人がいるが、そうはならないだろう。
地区連銀総裁や理事が現場から聞いているフィードバックは、物価は上昇し、労働力は不足しているというものだ。

シーゲル教授がウォートン・ビジネス・ラジオで20日、Bloombergでの発言趣旨を繰り返した。
米国株市場については長期で強気だが、短期では調整が入る可能性があるという。
金融政策については、早期のテーパリング開始を予想した。
教授はデルタ変異種の影響について、ワクチン接種や感染拡大が集団免疫獲得を早めると主張してきた。
結果、10月までには沈静化に向かい、テーパリングの妨げにはならないという。

シーゲル教授は、FRBの金融政策正常化のプロセスについて仮説を述べている。
前回の正常化では、テーパリングが終了した後に利上げが始まった。
テーパリングとは資産買入れ額の縮小であり、その間はまだ資産買入れが継続している。
つまり、(ストック・ビューに立てば)緩和を強化している段階だ。
そこに利上げを行うのは、金融政策の整合性が取れず、考えにくいとされている。
ウィリアム・ダドリー元ニューヨーク連備総裁もそう考える1人。
整合性の他に、前例と同じとの市場期待を裏切ることが市場の混乱を招きかねないと話している。
しかし、金融政策についてのタカ派であるシーゲル教授は、今後のインフレ次第でサプライズもありうると話す。

今のところ(利上げは)来年の晩夏までないと言われているが、もしもインフレが悪化すれば、テーパリング中でも(利上げが)同時進行するかもしれない。
来年のこの可能性を除外すべきでない。

ただし、シーゲル教授によれば、このサプライズが及ぼす市場への影響は「停止」程度だという。
それどころか、むしろいつもどおり強気予想を展開している。
出演時のS&P 500の値4,435に対して、自身の予想を述べている。

「デルタ変異種が制御できると仮定すると、私はそうなる可能性が高いと考えているが、(今後12か月のS&P 500のEPSは)220近くになると考えており、これはPER 20倍に相当する。
20倍というのは極端な低金利環境においては良い平均的な倍率だ。
仮にEPSを208と仮定し、PER 22倍だとしても、現在の金利構造を考えれば全く異常ではない。」

シーゲル教授は、市場に伸びきっているという自覚は見られず、まだ上げ余地がありうるという。
ただし、強気の理由は最近は消去法の論理が多い。
好調な企業収益はともかく、配当利回りが長期金利より良いこと、インフレが上昇し現金・債券が不利になっていることは今後変わりうる要因だ。

シーゲル教授は中国への投資について尋ねられると、広く新興国市場まで含めて答えている。

こうした多くのセクターが下げている。
でも、これが意味するのは、長期的にドル・コスト平均で臨めば恩恵があるということだろう。


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