ブラックロック・インベストメント・インスティテュートは、現在のインフレの原因が主に供給側にあるとし、市場の利上げ織り込みが行き過ぎていると分析している。
市場は将来の利上げ予想をさらに高めている。・・・
市場予想はさらに上昇するかもしれないが、私たちはすでに市場予想が行き過ぎていると考えている。
利上げ回数は実際には少なく終わるだろう。
ブラックロックが週次コメンタリーで、市場が各国中銀の利上げについて前のめりになりすぎていると指摘した。
4つの主要中銀の政策金利について市場の織り込みを示し、FRB・BOE・ECBについて言及したものだ。
インフレ退治は経済成長に「コスト」を課すため、それが見合わないと考えられるようになると予想している。
ブラックロックは中銀のタカ派的発言がリスクの詰まったパンドラの箱を開きかねないと警告する。
中央銀行の信認を損ね、市場は金利上昇を織り込みストレスを増し、信用スプレッドを拡大させかねないという。
それこそが足元のボラティリティ上昇だと解説する。
インフレ退治のコストが大きすぎるとは、どのような考えから来る結論だろうか。
ブラックロックの根拠は、足元のインフレの原因にあるようだ。
「(金融政策)正常化は賢明な判断と思われるが、それを供給側によるインフレへの対処として正当化することはできない。
現在の景気回復は通常のものとは異なり、需要の急騰が経済を過熱させているものの、経済成長がまだ潜在成長率より下にある中で供給により形作られた世界だ。」
ブラックロックは足元のインフレの主因を「供給のボトルネック、エネルギーのミスマッチ、資源の再配分」によるものと考えている。
供給側の問題だから、主に需要側に働きかけてきた金融緩和を巻き戻すのは効率的でないと考えているのだろう。
もちろん金融引き締めは景気にマイナスだ。
結果、インフレ退治にはあまり効率的でなく、経済を痛めるだけという主張になる。
ブラックロックは、各国中銀のタカ派姿勢がポーズに過ぎず、すでにある程度のインフレ上昇を甘受する覚悟だと見ている。
では、インフレに寛容な金融政策の下で有効な投資戦略とは何か。
私たちは、国債保有のリスクに対して投資家がますます高いリターンを要求するようになると見て、先進国の国債をアンダーウェイトしている。
政策金利の引上げ予想幅がまだ小さいことから株式をオーバーウェイトし、その(利上げの)間のボラティリティ上昇に備えている。
この状況が、今年のリスク資産の厳しいスタートの後に、長期投資家にチャンスを与えるだろう。