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利上げは予想を超え、円安にはまだ余地がある:ブリッジウォーター
2022年4月28日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレベッカ・パターソン氏は、FF金利が市場織り込みより高く引き上げられるとした他、円安にはまだ余地があると予想した。


「市場は、インフレが今後3年間で2%に戻るのでなく3%前後になると織り込んでいる。
それには大幅なFRBの引き締めが要る。・・・
私たちの疑問は、市場が織り込んでいるところまでインフレを抑えるのに(想定されている引き締めで)十分かという点だ。
そうでない点がリスクだ。」

パターソン氏がBloombergで、FRBのインフレ退治が容易ではないと話した。
特に市場が織り込むより大きな引き締めが起こる場合、それは市場に悪材料となる可能性が高い。

米5年のブレークイーブンインフレ率(青)名目債利回り(赤)、物価連動債利回り(緑)
米5年のブレークイーブンインフレ率(青)名目債利回り(赤)、物価連動債利回り(緑)

期待インフレ率の実測値であるブレークイーブンインフレ率は、5年で3%を超えている。
つまり、市場はすでに2%物価目標が長く達成されないと見透かしているわけだ。

足元の実質金利はマイナスかゼロ近傍

パターソン氏は、現状想定されている引き締めでは3%でさえ実現できないのではないかと疑っている。

CME FedWatchでは2023年7月までのFF金利の(市場予想の)確率分布が公表されている。
最頻値をたどってみると、今年の年末が2.75-3.00%、2023年2、3月が3.00-3.25%、同5、6、7月が3.25-3.50%となっている。
一方、3月のFOMCで示された2023-24年のFF金利は2.8%、中立金利とみなされる「longer run」では2.4%だ。
その後、FRBはタカ派にシフトしているから、2023-24年はもう少し高くなるのだろう。

問題は、(市場が織り込む)3.25-3.50%のFF金利でCPI(3月の総合で8.5%、コアで6.5%)が3%前後、または2%前後まで戻るのかという議論になる。
FRBによる中立金利2.4%に比べれば確かに高いが、実質金利で見ればマイナス圏に沈んだままかゼロ近傍になる可能性が高い。
これで、現状の高いインフレが押し下げられるのかという話になる。
(ちなみに、3月FOMCでのlonger runのPCEインフレ率は2.0%であり、単純計算での実質中立金利は0.4%と計算される。)

米インフレ高止まりを予想する投資戦略

パターソン氏の予想は、結局FRB金融引き締めが現在の想定を大きく超える幅になるというもの。
同氏は以前から、米長期金利が4%まで上昇する可能性に言及している。
また、現在の米インフレの原因が供給ショックでなく需要ショックであると述べたことがある。
つまり、供給ショックが和らいでも、それだけでインフレは十分に下がらないとの見方だ。
ブリッジウォーターは、コアCPIが1年後でも6.5%にとどまると予想しているという。

こうした見方を反映した投資ポジションについて言及されている:

  • 米国債: イールドカーブ全体でショート。物価連動債ロング。
  • コモディティ: 分散されたシクリカルなコモディティ。金。
  • 株式: 米国株ショート、日本株ロング。

円安はまだ余地がある

以前から日本株を推奨してきたパターソン氏だが、足元の円安にはまだ進む余地があるという。
日本にとって円安は良し悪しがあるとしつつ、日本はさらなる円安を許容するとの見方だ。

日本は長い間インフレを実現しようとしてきた。
この円安を(状況を)リセットするチャンスと考え、円安のコストを制御しようと考えるだろう。

サプライチェーン問題や資源高に加えて、円安、それによる輸入インフレ、それが転化した国内インフレが、足元のインフレ上昇の一因になっている。
これが人々のインフレ期待を持ち上げたり、理想的には賃金上昇につながれば、日本のしつこいディスインフレ体質に変化があるかもしれない。
日銀がそのチャンスに賭けるとの読みだろう。


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