投資

列車を降りる時には急落するものだ:ジェレミー・シーゲル
2020年1月11日

ウォートンの魔術師ことジェレミー・シーゲル教授が、モメンタム主導の市場環境に珍しく危機感を吐露している。


S&P 500について2-3年間のグラフを見ると、2017年の終わりから2018年の1月にかけて急上昇した。
モメンタムにかける投資家が買いに入った。

シーゲル教授が9日CNBCで2018年初めのドタバタ劇を回想した。
教授は現在を当時と似た雰囲気と感じ取っているようだ。

2018年1月初め、バブルの専門家でありバリュー投資家として高名なジェレミー・グランサム氏が「メルトアップ」という言葉を用いてバブル発生の兆候を指摘した。
同月下旬にはレイ・ダリオ氏が「噴き上がる」という言葉を用い、市場サイクル終期に起こりがちな《最後のひと上げ》を予想した。
皮肉にもその直後から市場は下落へと転じる。
ジェフリー・ガンドラック氏は後に、1月が世界の株式市場のピークだったと主張した。
ところが、再び皮肉にも、特に米市場はFRB金融緩和などにより再上昇を始め現在に至っている。

今、シーゲル教授は2018年1月のデジャブに悩まされているのだ。
教授は当時の市場心理を回想する。

「『取り残されるのが怖い(FOMO)。
これを逃さない。
売れば自殺行為だ。』」

バブル発生時に決まって見られる投資家行動だ。
教授は強気を装いながらも、わずか3分余りのビデオの中で何度も何度も「心配」やそれに類する言葉を使っている。

私は今モメンタムの牽引する市場になりつつあるのを少し心配している。
この上昇がどこまで行くのかはわからないし、今のところ終わりは全く見えない。
みんな列車に飛び乗り始めている。
良いリターンをとれたと感じられるまで隘路を行こうとしている。

シーゲル教授は先日、現状の市場の状況について「2000年と同じ意見」と述べた。
これは《2000年と同じ》という意味ではなく、《2000年のバブル発生前の意見と同じ意見》という意味だった。
つまり、まだバブルは発生していないという含意だった。
一方で、シーゲル教授が現状をドットコム・バブルと比較し始めたのは事実であり、大いに不安を誘うものだった。

シーゲル教授は、株価バリュエーションへの不安を払拭しようとする。

米市場は目いっぱいの値付けになっているが、市場全体が狂い始めたということはない。
2000年と近いとか似ているとかいうことではない。
S&P 500のPERは20倍で、低金利の世界では大丈夫だ。

この見立ては全く正しいものだが、一方で現在の歴史的低水準にある低金利を前提としている。
裏を返せば、その前提が崩れれば話は変わるということだ。
そんな危うさを忘れたかのように、市場は高値を試し続けている。

「もちろん割安ではないし、過去10年間のほとんどの時期より高いが、今はモメンタム・プレーが少し心配だ。
・・・
私は2020年を通してこうした上昇が続くとはもちろん思わないし、おそらく第1四半期いっぱいも続かないだろう。」

シーゲル教授は、投資スタイルごとに対応を推奨する。

  • 長期投資家: 大丈夫だから、今のポジションを維持。
  • 短期トレーダー: タイトな値幅で投資しているなら勝負すればいい。

何がここまで株価を押し上げているのかと尋ねられると、シーゲル教授は、多くあったリスク要因が一気に晴れた点を指摘する。
雲が晴れ青空が広がったことで、みんなが我先にと列車に飛び乗ろうとし、行けるところまで行こうとしていると話した。
これがモメンタム主導の市場を生む。
上がるから買われ、さらに上がるからまた買われる。
この力強い好循環は、いつか逆転すれば力強い悪循環に転じる。

この日のシーゲル教授はすっかり《永遠の強気》の看板を下ろしていた。

アップサイドと同様にダウンサイドも存在する。
注意しないといけない。
少し心配している。
これがかなり続くなら、何かでパンクし、みんな列車から飛び降りるだろう。
・・・2018年に起きたとおり、列車を降りる時には急落するものなんだ。


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