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出口のない共依存が終わる時:モハメド・エラリアン

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、FRBを取り巻く危うい共依存関係について警告している。


2010年ベン・バーナンキFRB議長(当時)は非伝統的政策にともなう利点、コスト、リスクについて語り、こう続けた。
『これを長く続けるほど利点は減り、コストとリスクが大きくなる。』
これが10年前だ。
当時バーナンキ議長は、非伝統的政策を経済における橋(経路)であると考えていた。
今ではそれが目的地になった。

エラリアン氏がスイスthe marketのインタビューで語った。
当時の非伝統的金融政策が今では経常の政策手段に格上げされている。
エラリアン氏はこれに良い面は少なく、ただコスト/リスクばかりが存在すると指摘する:

  • 無責任なリスクテイクの増大
  • 格差拡大
  • 金融市場の歪み(マイナス金利や不適切な資源配分)

少なからぬ人がこうした問題点を認識していながら、なぜ非伝統的政策が常態化してしまうのか。
コロナ・ショック前のある時期、世界の指導者の中には経済がそこそこ回復したと胸を張る人も少なくなかった。
しかし、経済が平時に戻っても非伝統的政策が終了するには至らなかった。

私たちはとても不健全な共依存に陥ってしまった:
中央銀行と投資家の間、中央銀行と借り手(政府や企業)の間、中央銀行と政治家の間の共依存だ。・・・
彼らは互いに依存しあうようになってしまい、どうやって抜け出せるかわかっていない。
中央銀行が出口を模索するたびに、市場が無秩序に陥るリスクにさらされる。

エラリアン氏は、パウエルFRB議長やラガルドECB総裁が受けた洗礼に言及する。
両氏ともに共依存の問題を認識していたが、スタンスを明言するや否や市場は大荒れとなった。
結果、両氏とも市場のいいなりに見えるようなUターンを演じている。

現在の経済の問題は幸か不幸かインフレではないが、それ以外にも無視できないリスクが存在することは間違いない。
(しかし、現在の指導者の中にはポール・ボルカーのように、仮に経済を悪化させても、問題を解決しようというような人はいない。
だからこそ、多くの人がボルカーに敬意を示すのだろう。)

最も軽視されているのは、米イールドカーブの動向だ。
着実に上昇しており、これがFRBを難しい立場にする。・・・
イールドカーブ・コントロールは米国債市場を完全に歪める。
これは危険領域への入り口だから、注意しないといけない。

仮に共依存がそれでも続いたらどうなるか。
金利上昇圧力がある中(つまり、成長やインフレが上向く中)、FRBが長期金利まで低位にペッグすればどうなるだろう。
いうまでもなくインフレの圧力がさらに上向いていく。
では、これまで働いてきたディスインフレの圧力(エラリアン氏はこれをアマゾン・グーグル・ウーバー効果と呼んでいる)はそれを打ち消し続けることができるだろうか。

今や、最近の規制動向ほかの要因により、供給側での同じディスインフレ効果が得られるかどうかは確実でなくなっている。
FRBと市場にとっての悪夢とは、供給側のディスインフレ効果が減り、需要が離陸することで需要側のインフレ効果が高まり、市場がそれを感じ始めることだ。


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