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再生ボタンまでには時間がかかる:モハメド・エラリアン
2020年2月23日

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、新型コロナウィルスのリスクの大きさを解説し、それが世界経済に及ぼす影響を論じている。


市場はコロナウィルスを・・・封じ込め可能な一時的・可逆的ショックと見ている。
・・・そして、拡張的財政・金融政策についてのすてきなコメントで後押ししている。
でも、実際に起こっているのを見ると、まったく異なる。

エラリアン氏がBloombergで、市場の楽観について警告している。
コロナウィルスが人の意思によって起こるリスクでないため、最近の地政学的イベントとは異なる見方をすべきとの考えのようだ。
エラリアン氏は、Appleの見通し修正などを挙げ、世界経済のさまざまな部分が停止を始め、サプライチェーンを通してそれが広がっていると指摘する。
経済への影響は一瞬の悪化では済まないと予想する。

「経済への影響がV字ですまないのを心配している。
U字を期待しているが、もっと悪い可能性がある。」

また、影響は供給側だけでなく、需要側にも及ぶ。
中国では稼ぐ機会を奪われる人がおり、これは消費に大きく影響するだろう。
中国だけでなく、日本などでも、外出を控える人が増え、これもまた消費に悪影響を及ぼす。

「中国企業ではレイ・オフも行われ、給料が払われなくなったところもある。
・・・これは需要と供給の両方に対するショックだ。
販売とサービス、国内的と対外的に影響する。」

勇敢なまでに弱気なエラリアン氏だ。
明らかに米市場心理と大きな温度差がある。
エラリアン氏は、米市場が楽観を続けている要因を2つ挙げた。

  • 中央銀行が助けてくれるという期待。
    「かつては中央銀行が市場を従えていたが、今では市場が中央銀行を従えている。」
  • 地政学的イベントの影響を見誤ったアナリストが楽観に振れた。
    「これは株式市場ではよく見られることだが、経済アナリストが価格動向にこうも影響を受けるのは初めてのことだ。」

エラリアン氏は、コロナウィルスの問題を単なる短期的なイベントとは見ていない。
社会・経済の大きな変化のきっかけになりうると考えている。
その変化とは、脱グローバリゼーションという方向性だ。
エラリアン氏は、コロナウィルスが脱グローバリゼーションの第2段階を促しうると指摘する。

第1段階は、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」だった。
エラリアン氏は、この変化を「ある部分が取り残されたと考え、社会としてグローバリゼーションに一時停止ボタンを押した」と解説した。
米労働者が雇用を取り戻そうと保護主義的政策を支持したものだ。

コロナウィルスが促しうる第2段階は、企業に起こる変化だ。
グローバル・サプライチェーンとは、うまくいっているうちこそ、良いものを安く作るすばらしい手段だ。
しかし、一たび混乱が起こると、予見が難しい形で停止してしまう。

多くの企業がこの効率と予見性(のトレードオフ)について気づくだろう。
過去このトレードオフは大きく効率の方に寄っていた。
このグローバリゼーション・ナラティブ自体が再検討の対象となるだろう。
・・・だから、それほど早く再びグローバリゼーションの再生ボタンが押されるとは思わない。


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