円高ドル安阻止のため米国債を買え:藤巻健史議員

藤巻健史参院議員が、日本の金融・財政政策の見通しとジョージ・ソロス氏の思い出について語っている。
最近はすっかり仮想通貨業界の応援団としての露出が多くなっていたが、本来最も注力すべきテーマはもっと大きな金融・財政の問題だろう。


日本でもし物価目標の2%がみえてくると金利の先高観が強まり、財政破綻は近づく。
市場では『日本は対外資産が巨額なのですぐには財政破綻しない』との声ばかりだが、資産のほとんどは政府のものではない。
インフレ率が急上昇する『ハイパーインフレ』が起これば政府債務は相対的に減るが、国民に負担を強いることになる。

藤巻議員が日経QUICKのインタビューで話している。
「ハイパーインフレ」という言葉にふさわしいインフレとなるかどうかは別として、議員の予想は定性的には正しい。
「オオカミおじいさん」は健在だ。

金利上昇が避けられない出口シナリオ

物価上昇率が2%となるシナリオには大きく2つの場合がありうる。

  • 経済回復による物価上昇: この場合、物価と実質金利の両方に上昇圧力が加わり、名目金利への上昇圧力はかなり大きくなる。
    それでも金利を低位に押し下げれば、なおさら上昇圧力が増す。
    日銀が買い入れる資産での利回りは上昇が抑えられるだろうが、それ以外の資産では価格が下落することで利回りが上昇せざるを得ない。
  • 経済回復なき物価上昇: スタグフレーション的な物価上昇であり、もっとも恐れるべきシナリオだ。
    金融緩和で景気刺激を継続すれば、さらに物価が上昇する悪循環になる。

リフレ派の中には物価が上昇すれば金融を引き締めればいいと言う人もいる。
しかし、後者の場合はそれができない。
景気回復のないシナリオで金融引き締めを行うというメンタリティーは日本にはない。
では、前者ならば金融引き締めは可能なのか。
これも利上げ幅は限られてくるだろう。
市場の実勢または自然利子率まで利上げすれば、日銀や政府の財務が急速に悪化してしまう。
財政破綻が逃れられない運命とは考えたくないが、実質的な財政破綻はある程度覚悟せざるをえない。
それは


  • 悲鳴を無視して行う増税
  • 抑えきれないインフレ税

の2択だ。
日本の政治家のレベルを考えれば、後者になる可能性の方が高いのだろう。

異次元緩和は平成最大の失敗

藤巻議員は異次元緩和に対して厳しい。

平成最大の失敗は日銀が2013年に導入した異次元の金融緩和政策だろう。

確かに、異次元緩和が《量的緩和》としてスタートしたために、日銀のバランスシートを不必要に拡大してしまった点は残念だ。
少なくとも1年目は、市場の期待をある程度アンカーできていた。
その後の長期戦への移行が泥沼状態を作った。

2016年の日銀による「総括的な検証」の後、異次元緩和は《量的緩和》ではなく長短の《政策金利》の操作になった。
《量》の目標は大きく後退し、イールドカーブ・コントロールが主役の政策となった。
長期金利を低位に保つために長期国債を買うのなら、日銀のバランスシートはここまで膨らむことはなかったかもしれない。
(日銀はワーキング・ペーパーでストック・ビューを支持している。)
このことが将来の政策のスペースを小さくしてしまっている。

(次ページ: 円高阻止のアイデアとジョージ・ソロス氏の思い出)


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