海外経済 投資

先行きはナラティブの変化しだい:ロバート・シラー
2019年11月29日

ロバート・シラー教授が、持ち直しの兆しが見える米住宅市場についてコメントし、景気の先行きの予想が難しいとこぼしている。


FRBが拡張的な政策を示唆し、これが住宅価格上昇を推し進めたと考えるのが論理的だろう。
しかし、数字が明るく再確認できるものだったにもかかわらず、実際には昨年・過去数年とはかなり異なるものと言わざるをえない。

シラー教授がBloombergで、足元の米住宅市場についてコメントした。
教授はこれまでも米住宅市場の伸びが低下したことを心配していた。
年2桁%の伸びと好調だった2012-15年と比べると、昨年のケース・シラー住宅価格指数の全国指数は3.2%まで低下したと指摘した。
シラー教授は、まだ住宅市場が健全だとしながらも「ワクワクするような状況ではない」と控えめな言い方をしている。

シラー教授は、住宅市場だけでなく、米景気全体も先行きの方向性が読みにくいと話す。
少し前にイールド・カーブが逆転した時、人々の景況感は急速に悪化したが、現実には景気後退とならず、米経済は良好な状態にとどまっていると教授はいう。
不動産価格には「ブーム」と呼ぶべき状況は全くないという。
言い換えれば、根拠なき熱狂というほどの現象が見られないということだろう。

「前回の景気後退では熱狂が突然反転したが、今の市場は熱狂によって駆り立てられているのではない。
控えめな熱狂が安定的に推移しているようなものだ。
景気後退となるかは大きな疑問だ。
・・・それはどうナラティブが変化し、どう私たちの考えが変化するかによる。」

ここまで割り切ったことをいう経済学者も珍しい。
みずから資産価格の実証研究を強みとしておきながら、ファンダメンタルズの数字より人々の心理を重視しているように語る。
景気を左右するのが人心だとするなら、結論は「予想するのが難しい」とならざるをえない。

一番心配なナラティブは何かと尋ねられると、シラー教授は多くのナラティブの中から大統領弾劾にかかわるものと答えた。
弾劾手続きが生む不確実性が、企業活動や意思決定にブレーキを踏む可能性があるという。
その一方で、それが経済や景気にどの程度のどういった影響を及ぼすかは予想しきれないという。
シラー教授の景気予想はあくまであいまいだ。

「それが急速に変化する可能性もあるが、今から2020年11月までは1年にすぎないので、それまで景気後退が起こらない可能性もかなりある。
そして、それはトランプに有利に働く。
でも、景気後退が起こらないと言えるほど、私たちが状況を理解できているとも思えない。」

いつもながら、シラー教授の言い方は率直かつあいまいだ。
しかし、ここから1つ見えるのは、おそらく日本におけるセンチメントが米国におけるそれに比べてかなり悲観的であるということではないか。


-海外経済, 投資
-,

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 その他利用規約をご覧ください。