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債務は持続不可能、世界株式はクラッシュ:ヌリエル・ルービニ
2021年4月19日

ヌリエル・ルービニ ニューヨーク大学教授が、インフレか否かの議論をレビューし、いつものようにひどく陰鬱な将来を予想している。


結局のところ、1970年代のスタグフレーションは1973年第4次中東戦争、1979年イラン革命の後の2度の石油供給ショックの後に起こった。

ルービニ教授がProject Syndicateで、足元で上昇しつつあるインフレが一過性のものか、趨勢的なものかを論じている。
それぞれの論点を丁寧に棚卸した後、教授が導き出した結論は中期インフレだ。
理由として主に供給ショックの存在と過剰な金融・財政政策を挙げている。

ルービニ教授は、潜在的な供給ショックとして、保護主義、米中対立、サプライチェーンの分断、移民の制限、労働者の権利向上などを挙げている。
多くについて、需要ショックが問題だったリーマン危機後とは異なる状況だという。

金融・財政政策については、異例の規模の財政政策は言うに及ばず、強力な金融政策が長く続くと予想される点を危険視している。

「その時が来れば、各国中央銀行はバランスシートを縮小し、政策金利をゼロまたはマイナスから引き上げることで過剰流動性を簡単に取り除くことができるという人たちがいる。
しかし、この主張はどんどん受け入れがたくなっている。・・・
公的・民間債務がすでに高いところ(先進国でGDPの425%、世界で同356%)から上昇しており、長短金利とも低くすることしか、債務の持続性を保てない。
この時点での金融政策正常化は、債券とクレジットの市場、そして株式の市場をクラッシュさせ、景気後退を引き起こす。
中央銀行は事実上独立性を失っているのだ。」

中央銀行はすでに財政従属の状況にあり、たとえ行きすぎたインフレ等が起ころうとも、独立した判断により金融政策を正常化させることができないと考えているのだ。
もっとも、こうした議論はすでにパンデミック前から存在した。
パンデミックに対処するための財政出動が、方向を決定的にしたというべきかもしれない。

ルービニ教授の予想は従前どおり短期と中期の二本立てだ。

「短期では、財・労働力・コモディティの市場、いくつかの不動産市場のたるみが、持続的なインフレ急騰を防ぐだろう。
しかし、今後数年では、持続的な負の供給ショックの出現により、緩和的な金融・財政政策が、持続的なインフレ的、最終的にはスタグフレーション的な圧力の引き金を引き始める。」

ハト派の論客の中には、インフレを歓迎するとのレトリックを使う人が少なくない。
脅威はデフレであってインフレではないとの議論だ。

ルービニ教授は、勘違いしてはいけないと釘を刺す。
いつものように読者を奈落の底に突き落とす。

インフレの再出現は過酷な経済上・金融上の帰結を生む。
『グレート・モデレーション』(大いなる安定)から新たな不安定なマクロ経済の時代に入るのだろう。
債券の趨勢的な強気相場はついに終わり、債券の名目・実質利回り上昇が今日の債務を持続不可能にし、世界の株式市場をクラッシュさせるだろう。
じきに、私たちは1970年代のような停滞を目の当たりにすることになろう。


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