債務が支える見せかけの好景気:ジェフリー・ガンドラック

新債券王ことDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、Barron’s恒例年初のラウンド・テーブルで市場の見通しについて語っている。
米債務拡大について強い危機感を示している点が印象的だ。


市場サイクルはしばしば何か異常な終わり方をすることが多い。

ガンドラック氏がBarron’sで話した。
念頭にあったのは2000年のドットコム・バブルだ。
売上もほとんどなく、利益ももちろん上がっていない銘柄に高い株価がついていた。
こうした異常なことが起こり、下げ相場がやってくる。
今回の場合、仮想通貨への熱狂が終わりを告げるサインだったとガンドラック氏は言う。

「そうした熱狂のあとに反転がやってくる。
・・・
今は弱気相場だ。
私は弱気相場を株式の20%下落とは定義していない。
それは株式がどう振る舞ったかで決めるべきものだ。」

強気派は経済がまだ良好である点を主張する。
大統領も「現在が過去最強の経済」と吹聴する。
しかし、ガンドラック氏は同意しない。
その成長が財政刺激策、言い換えれば「債務」によるものだったからだ。
景気がいいなら財政を引き締め健全化しておくべきなのに、逆に債務を増やしてしまった。
これは時期に反動がくる。

さらにガンドラック氏が「自爆作戦」と呼ぶように、債務が拡大する中、FRBは金融引き締めを進めている。

ひどい経済は予想していないが、財政刺激策による人為的に強い経済を予想している。
市場はさらに下落するだろう。
昨年のほぼ逆で、株式は2019年初めは弱く、後半に持ち直すと見ている。

ガンドラック氏は従前から、中央銀行のバランスシートの大きさと株式市場が連動してきたと指摘している。
昨年まで4大中銀合算でバランスシートは拡大し、株価も上昇した。
昨年バランスシートがピークとなると、株価も峠を越した。


ガンドラック氏は、じきに各国中銀が金融緩和への回帰を強いられると予想する。
ただし、(利上げとは異なり)量的引き締めの反転のハードルはそう低くないという。

「量的引き締めを後退させることは、市場にとっては大きな助けになるが、S&Pの下落が20%未満なら起こらないだろう。
株式がピークから30%下がらない限り、FRBは量的引き締め後退を考えないだろう。」

ガンドラック氏は、米経済のリスクとして、債務に関して幅広いリスクが存在すると指摘した。
まず、景気が悪くない中で減税・歳出拡大が行われたために悪化した財政。
次に、それがなくとも財政を悪化させていく社会保障負担。
さらに、民間レベルでの債務だ。

国家の債務については、危機的な状況にあると語る。

「FRBがもしも利上げすれば・・・連邦予算の気が遠くなるほどの部分が国家債務の利払いに充てられることになる。
数年のうちに、債務の利払いは米軍事予算を上回るだろう。
人間とは直面するまで危機に目を向けようとしないものなんだ。」

逆を言えば、米国が財政従属に陥る可能性を示唆したものとも言える。
経済が発散してしまうような極端なことがなければ、金利は低位に保たれるとも読める。
ガンドラック氏は、社会保障の財政負担について、問題が国民に理解されれば解決は容易だろうと予想している。

民間部門での問題は多くの人たちも指摘するように社債市場だ。
ガンドラック氏も社債市場を「最大のリスク」と話している。

「米ジャンク債の発行が多く、質は低い。
多くの銘柄がコベナンツなしに上場されている。
投資適格社債市場も大きく膨らんだ。
前回の信用危機前よりもはるかに大きい。
・・・
企業の運用責任者は意図して不適切に低金利・タイトなスプレッド・企業債務の期間延長を利用してきた。」


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