債券王ビル・グロス、引退へ

Janus Hendersonがビル・グロス氏の引退を発表した。
グロス氏は自身が創業したPIMCOを2014年に負われるように退職し、Janusに電撃移籍していた。


この数年のグロス氏は災難続きだった。
FRBの金融政策や債券相場の大転換を誰よりも早く予想したが、その予想は少々早すぎた。
結果、PIMCO時代終期の運用成績は、グロス氏にとって決して満足のいくものとならなかった。
世の中の視線は新債券王ジェフリー・ガンドラック氏へと移っていった。

とは言え、Janus移籍後もジョージ・ソロス氏から巨額投資を受けるなど一定の存在感は保っていた。
特にPIMCO時代から続いた月次の投資見通しは、ユーモアとストーリー性に溢れる有用かつ楽しめる情報源だった。
アナリスト的でなくトレーダー的なグロス氏の投資は、それ自体がワクワクさせる冒険譚のようなものだった。
それを綴った投資見通しもいつしか途絶えていた。


世間からはフィランソロピー、切手コレクション、長年連れ添った妻との離婚など、投資以外の話題で取り上げらえることがむしろ多くなった。
最近の投資では、米独金利差の縮小に賭けるポジションをとっていたが、これが運用成績の足を引っ張り、大量の資金流出を招いた。
グロス氏自身、さらにはJanusのCEOが、移籍後の運用成績を期待外れと漏らしたこともあった。

とは言え、こうした話が取り上げられるのも王ならでは。
Janusによれば、2018年末までの運用成績はベンチマークをアウトパフォームしていたというから、不調が伝えられてもやはり並みの投資家ではなかったのだ。

74歳のグロス氏が再び移籍するという話は出ていない。
今後は自身と家族の資産の運用を続けるようだ。
PIMCO時代は単年度で2億ドルの報酬を得ており、Janus移籍時も数億ドルの自己資金をPIMCOから移したと伝えられていたから、運用資金にはことかかないようだ。

自由になったグロス氏が、むしろ投資家やメディアへの露出を増やしてくれることに期待しよう。


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