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債券のテイパータントラムは不可避:ウィリアム・ダドリー
2021年2月5日

ウィリアム・ダドリー元ニューヨーク連備総裁が、FRBの内心を推し量り、時期こそ予見できないものの債券のテイパータントラムが避けられないと予想した。


ジェローム・パウエルFRB議長は、資産買入れのペース減速を始めることについて、話すのも時期尚早と言っている。
FRBはおそらく晩秋-来年初めまで政策を変えないだろう。

ダドリー氏がBloombergで、パウエル議長の胸の内を代弁した。

米市場心理は(短期的な調整を別とすれば)依然として強気が勝っているように見える。
その重要な根拠は拡張的金融政策であり、ゼロ金利と潤沢な流動性である。
逆に言えば、足元で強気としても、いつかくる金融政策の変更は気になるところだ。

「ワクチン接種が進み、そうなればソーシャル・ディスタンスが緩和され、経済が再開すると期待されている。
それが実現すれば、経済はかなり急速に加速するだろう。
娯楽・ホスピタリティの分野で大きな需要拡大が予想されるからだ。」

ダドリー氏は、現在のコロナ対策の工程が順調に進めば、経済の回復も早いと予想する。
そして、それが早く強いほど、FRBが政策変更を検討する時期も早く来ると示唆している。

「うまく行けば年後半は(経済が)かなり強くなるかもしれない。
その時点でFRBの人たちは、どうやって巻き戻しを始めようか、と考え始めるはずだ。
まだパンデミック開始以来9百万人の人が失業しており、FRBは早すぎる巻き戻しを望まない。・・・
もしもそうすれば、債券利回りが上昇し、株式市場が下落し、金融環境が引き締まり、FRBが目的を達成するのが困難になってしまう。」

多くの市場関係者がFRBの意図を見透かしているとおり、FRBが金融政策を実際に変更するまでには長くかかりそうだ。
そこには緩慢な回復になりがちな雇用の問題もあるし、金融市場に混乱を与えたくないという面もある。

FRBが抱える問題は、いつかは強力な緩和からダイヤルを戻す時が来ることだ。
そのダイヤルに触る時、そのダイヤルに触ろうとしていると認識される時、市場が反応する。
FRBが債券のテイパータントラムを回避するのは極めて難しいだろう。

2013年5月のテイパータントラムは、バーナンキFRB(議長)が議会証言において、数回のFOMCのうちに資産買入れペースを落とす可能性があると発言したことで起こった。
ペースを落とすだけで、買入れ終了やテイパリングを宣言したものではなかった。
それでも市場は大いに動揺した。

ダドリー氏は「債券のテイパータントラム」が避けられないと話している。
つまり、長めの債券は急落(=利回り急上昇)するということだろう。
果たして、株式は金利急上昇に耐えられるだろうか。
債券価格が下落し利回りが上昇すれば、債券は再び有力な投資先として浮かび上がってくる。
株式は相対的に魅力を失うかもしれない。

ダドリー氏は、市場下落時にリスクを増幅させうるとの指摘のあるミューチュアルファンドの課題についても語っている。
ハイイールドなど流動性の低い資産に投資するファンドは引き出し可能日数を大幅に長く(週・月)設定すべきと述べている。

「たくさんの投資家が引き出しを求めれば、市場が債券の売却を吸収できなくなるかもしれない。
だから、流動性のないミューチュアルファンドは基本的に投資家からの一晩での引き出しに応じず、週ごと・月ごととするよう変更すべきだ。
そうすればミューチュアル・ファンドの運用者に秩序ある資産流動化の時間を与えられる。
それがさらなる価格下落をもたらす資産の投げ売りを防ぐことになる。」


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