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停滞かインフレかクラッシュか:ヌリエル・ルービニ
2021年5月9日

ヌリエル・ルービニ ニューヨーク大学教授が、米経済にこれから起こりうる3つのシナリオについて話しているが、なんとも終末博士らしくて微笑ましい。


もしも今後数か月でのインフレ上昇が本当に一時的なものなら、FRBが正しかったことになる。
これは、ほとんどの刺激策が支出より貯蓄に、借金の返済に回る場合に起こる。

ルービニ教授がKitco NEWSで、FRBが堅持する金融緩和継続路線が内包する条件を語った。

FRBが予想するように、足元のインフレ上昇が一過性のものならば、それは経済に何が起こることを意味するのか。
日本でも起こったように、お金はあっても支出に向かわない場合であり、これは消費主導の米経済が弱く推移することを示唆する。

金融・財政政策を目いっぱい拡張的にすると、債務は拡大し、金利は低下する。
これを正常化する場合、莫大な債務が存在する中で金利を上昇させなければいけなくなる。
(そうでないと、いつかインフレが不快な水準に上昇する危険がある。)
正常化は至難の業であり、この場合のハッピー・エンドとは経済が回復しないこと、といった皮肉なものになってしまう。

ルービニ教授は、FRBの予想が外れる場合にどのような将来がありうるか、2つのケースに分けて解説した。

そうではなく、この巨額な貯蓄とペントアップ・デマンドが存在し、需要が急速に拡大し、供給にボトルネックがあれば、インフレ上昇がより持続的なものになり、FRBが出遅れることがリスクになる。
その時点でいくらFRBがそれ(インフレ)が一時的なものにすぎないと言っても、インフレが上昇を始め、インフレ期待が上昇を始める。
FRBはイールドカーブの短期側を制御するが、長期側は名目・実質で上昇しうる。

これは、金融引き締めが後手に回ることで起こるインフレ昂進シナリオだ。
現在(本音かどうかはわからないが)FRBが強調しているのは、長く長く緩和を続けるというもの。
いくらインフレになりにくい環境だからといって、インフレ昂進の可能性は無視できないだろう。
アメリカ人なら当然、1970年代から1980年代初めのスタグフレーションを思い浮かべるはずだ。

ルービニ教授が呈示するもう1つのシナリオはその逆の場合だ。

あるいは、2013年のように・・・インフレの問題があるので、言ったより早くテイパリングを始める、言ったより早く利上げを始めると言い出す。
2013年のテイパータントラムが繰り返され、突然市場が早期のFRB引き締めを織り込むことで、長期の実質金利が上昇する。

これは、金融政策正常化、または正常化期待が早すぎる場合、金融政策より先に市場が自律的に引き締まり、資産価格が下落するシナリオだ。
米経済は資産効果が効きやすいと言われているから、逆資産効果も効いてしまう。

以上3つのシナリオをおさらいすると
1) FRBの言う通りインフレは一過性だが、経済も弱まる。
2) FRBが後手に回り、インフレが昂進する。
3) FRBが早すぎ、市場が混乱、経済が動揺する。

さすが終末博士、ハッピーエンドが存在しない構成になっている。
現実には、これらの間にハッピーなシナリオが存在することを祈ろう。

ルービニ教授は、FRBの政策がうまくいかない2)と3)のシナリオを問題視する。

出遅れればインフレを起こす。
出遅れがいやで引き締めのシグナルを出せば債券・クレジット市場がクラッシュする。
これは経済を弱め、失速させるかもしれない。
どっちもダメなんだ。


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