ブラックストーンのジョー・ザイドル氏が、現在の金融市場に存在する2つの倒錯した構図を指摘している。
ザイドル氏がCNBCで新型コロナウィルスの経済・市場への影響を解説していた。
同氏らしい堅い説明だったが、内容は同僚のバイロン・ウィーン氏のものと同じトーンのものだった。
その話より、ザイドル氏が指摘した、金融市場に存在する2つの倒錯した構図が興味深かった。
ここで起こったのは、私のキャリアの中で見たことのないフィードバック・ループだ。
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良いニュースは良く、悪いニュースはより良く、最悪のニュースは最良になっている。
ザイドル氏が挙げた3種類のニュース(昨秋以降)とは:
- 良いニュース: 米中貿易摩擦の第1段階合意、Brexit
- 悪いニュース: 米国によるソレイマニ司令官殺害と原油価格急騰
- 最悪のニュース: 人的被害の出たコロナウィルス
「市場を押し上げ、先週金曜日までの35営業日で18回S&P 500の新高値を記録した。」
悪いニュースが出る度に、中央銀行が金融緩和を行う、あるいは、その用意があるとアナウンスする。
市場は市場でさっさと利下げを織り込んだり、長期金利を押し下げたりする。
結果、悪いニュースのはずが、資産価格を押し上げてしまう。
ゴルディロックスを都合よく解釈したようなこのフィードバック・ループが、倒錯した構図を生み出している。
ザイドル氏は、経済学者ハーバート・スタインの言葉を借りて「永遠に続きえないものは続かない」と話す。
ただし、短期的にはまだ続く可能性が残っている。
「今年少なくとも2回、おそらく3回FRBは利下げすると予想している。
だから、このフィードバック・ループに回帰するのかもしれない。
これは流動性相場で、それが秋以降の(市場の)ドライバーだった。」
もう1つの倒錯は、債務と利回りの関係だ。
現在の世界経済はすでに債務のリターン低下に苦しんでいる。
過去の10年は、史上最高の債務、最低の金利、そしてどんどん高まる(株価)倍率を生んできた。
それが繰り返すのかどうかわからない。
これからは低リターンの環境となり、投資に、より高い確信が要求されるようになるだろう。