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倍率拡大はいつまでもは続かない:ジェレミー・シーゲル
2020年1月19日

《永遠のブル》ジェレミー・シーゲル教授が、米国株市場の速い上昇ペースに危機感を露わにしている。


ちょっと上がるペースが速すぎる。
これは2018年1月を思い出させる。

シーゲル教授がCNBCで、どんどん最高値を切り上げていく米市場のスピードに懸念を示した。
芸術的なまでに弱気な言葉を避けてきた教授だが、最近は心配を隠せなくなっている。
シーゲル教授が言及した2018年1月とは《最後のひと上げ》の期待が高まった時期。
ところが、直後に市場が一転、弱気相場入りが心配されるようになった。

「まだ、それに近いとは言わないが、市場にモメンタム・プレーヤーが多く、トレンドに追随し、加わっている。
『バリュエーションには関係ない。これに乗っかるんだ。』
それが少し心配だ。」

順張り投資家が市場を押し上げている点が共通しているとしながら、シーゲル教授は相違点も指摘している。
それは恐怖指数VIXだ。
現在が20前後であるのに対し、2018年1月は9程度だったと紹介。
当時は市場に警戒感がなかったと指摘した。

シーゲル教授は、従前の見方どおり、米国株のバリュエーションが伸び切っていると指摘する。
PERは昨年の実績に対して21倍。
教授は今年の企業収益の上昇を5%程度と見ていることから、PERは予想に対して20倍だ。
シーゲル教授が珍しく「高い」という言葉を使った。

これは高い。
過度に高くはないが、安い領域にはもはやない。
市場はあらゆる失望、あらゆるトラブルに対して脆弱になりつつある。

シーゲル教授は過去3-4年について企業収益より速いペースで株価が上昇してきたと指摘する。
つまり、PERは拡大してきた。
教授は、金利低下の中でPERが拡大するのは理屈通りとし、今後についても低金利が持続・安定すると予想している。

「しかし、それにも限度がある。
倍率拡大はいつまでもは続かない。
企業収益がそれなりについてこなければいけない。
現時点では、企業収益のそれなりの追随が見られない。」

シーゲル教授は、現在の株価上昇がモメンタム・プレーヤーの買いによるものと考えている。
モメンタム・プレーヤーは、その定義により、モメンタムが反転すればポジションを反転させる。
伸びきった市場は「あらゆる失望、あらゆるトラブルに対して」変わりやすい。

「長期投資家は大丈夫だ。
パニックして売り逃げる必要はない。
でも、今後数週間で利益を獲ろうと思っている人は市場をつぶさに見ておかないといけない。」

シーゲル教授は最近特に長期と短期の推奨を分けて語るようになった。
長期は大丈夫だが、短期は気をつけろという具合だ。
趣旨は分からなくはないが、短期で落ちると考えるのなら、長期なら大丈夫というのも欺瞞のように聞こえてしまう。
むしろ、長期投資ならエントリーのタイミングを見計らえと言った方が気が利いているように思える。
実際、シーゲル教授の言葉は決して楽観的にとらえることのできないものだ。

一たび上昇が速くなりすぎると、小さな石が当たっただけで転倒しうる。
遅かった時には何にも影響を受けなかった小石でさえだ。


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