海外経済 国内経済 政治

信頼感を保つため政策を:ラグラム・ラジャン
2020年3月3日

RBI(インドの中央銀行)総裁も務めたラグラム・ラジャン シカゴ大学教授が、コロナウィルスに対処するための政策、ウィルス後の脱グローバル化について語っている。


これを修復するのは容易ではない。
みんなが家にとどまり買物をしないために需要にショックが加わっている。
それだけでなく、サプライチェーンが働かないことで、供給にもショックが加わっている。
中央銀行が供給面に対して行えることは少ない。

28日、新型コロナウィルスによる経済的な打撃に中央銀行は対処できるかとBloombergから尋ねられ、ラジャン教授が説明した。
供給面はそのとおりだが、需要面は対処できるのか。
こちらには金融緩和余地の問題が横たわっている。
ラジャン教授は、日欧の中央銀行には利下げ余地がない点を指摘した。

「現時点で彼らがやれるのは量的緩和を大規模に再開することだが、その効果は大きくはない。
現時点では、中央銀行は『時期が来たら行動する』と言うことだ。
彼らには武器が残っていない。」

ラジャン教授は、量的緩和など金利以外の手段にも心理面での効果がありうると認めているが、その大きさはわずかと話している。
政策対応で残るのは財政政策となるが、教授はもっと優先順位の高い仕事があると指摘する。

現時点では、政府が行動しうる最善の策は、刺激策について心配することではなく伝染と戦うことだ。
刺激策は後の話だ。

ラジャン教授がこう言ったのは、当たり前のことだからでも、正論だからでもない。
それが結局、経済に跳ね返ってくるからだ。
教授は、特に米経済について、消費者信頼感の重要さを説く。
消費者が自信を持っていれば、消費が経済・市場を支える構図が維持できるからだ。
その信頼感を支えるのは雇用だ。

「まだ言うのは早いが、損害がもっと大きく、大規模なレイオフが始まれば、雇用への脅威が高まり、消費が市場を支える構図ははげ落ちるだろう。
大きくa) 雇用状況、b) 消費者信頼感に依存しており、両者が密接に関係している。」

ラジャン教授によれば、消費者信頼感を維持するには、ウィルスが封じ込められる見通しを示すことだという。
そのためには、それを連想させる実績を積んでいき、それが報じられるしかない。

「封じ込めの見通しを与えるには、何か材料がないといけない。
中国では封じ込めたのが見て取れる。
他の場所でも、限定的にとどめられることを確認する必要がある。」

各経済主体が自信を失わないよう、各国政府はまずウィルス封じ込めを最優先にすべきだというのがラジャン教授の考えだ。

ラジャン教授は、ウィルス封じ込めが成功しても、企業はサプライチェーンについて再検討を行うだろうと予想する。
企業の当然の疑問を教授は代弁する。

サプライチェーンをグローバルに展開すべきなのか、母国の近くに戻すべきなのか。
どれだけ分散できているか。
アジアに集中するのではなく世界中に複数の生産拠点を持つべきなのか。

こうした再検討が行われる結果、ラジャン教授は「生産におけるグローバリゼーションがひどく打撃を受ける」と予想する。
コスト中心の拠点戦略でなくなることで、生産性を低下させるだろうという。
これが、かねてからの保護主義を助長すると心配する。

間違いなくこれは製造コストを高める。
また、国家が国境を開放しようというインセンティブが減る。
過去数年高まった保護主義のトレンドは、グローバル・サプライチェーンを維持しようというインセンティブを失った時には強くなる。


-海外経済, 国内経済, 政治
-

執筆:

記事またはコラムは、筆者の個人的見解に基づくものです。記事またはコラムに書かれた情報は、商用目的ではありません。記事またはコラムは投資勧誘を行うためのものではなく、投資の意思決定のために使うのには適しません。記事またはコラムは参考情報を提供することを目的としており、財務・税務・法務等のアドバイスを行うものではありません。浜町SCIは一定の信頼性を維持するための合理的な範囲で努力していますが、完全なものではありません。 本文中に《》で囲んだ部分がありますが、これは引用ではなく強調のためのものです。 その他利用規約をご覧ください。