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何が正常なのかを思い出せ:ゴールドマンサックス
2021年12月8日

ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモンCEOは、インフレや政策のレジームが変わらないとの思い込みは危険だとし、リスクを適切に管理すべきと説いている。


今集中すべき、より大きな課題は、前例のない金融・財政政策がかなりの間採られてきて、そこから出て巻き戻そうとしている点だ。
これは資産価格、市場の行動、様々なことに大きなインパクトを与える。・・・
誰もスムーズにやれるかわからない。

ソロモン氏がCNBCで、オミクロン変異種についての考え方を問われた。
同氏はオミクロンについてはまだ不透明とし、それより重要なのが拡張的政策の巻き戻しだと言い添えている。

幅広い市場で歴史的に見てバリュエーションが目いっぱいであるのは間違いない。

ソロモン氏は、多くの資産クラスの価格が高水準であることを率直に認めている。
その上で、良い面にも言及した。
企業は株高と低金利(=債券高)の恩恵を受け、事業投資が有利になっているというものだ。
逆に、このところモメンタムに陰りがみられるグロース株については、比較的暗い見通しを語っている。

「これら多くの企業はとても強い売上成長を見せているが、まだ長い目で見て事業モデルが利益を生み出すかどうか証明できていない。
より厳しい打撃があるだろう。
私はこうした企業には資本が得られるうちに成長計画を実行するための資本を確保するようアドバイスしている。」

ゴールドマンのCEOがこう言うのだから、資金が比較的容易に調達できる時代が終わりつつあるのかもしれない。
ソロモン氏は、市場環境や時代が変わりうることに注意喚起している。
近年のインフレや金融政策を通常のものと考えるべきではないという。

「1つ心配なのは、多くの人が市場とはどういうものか、何が正常なのかについて過去の視点を忘れてしまっていることだ。・・・
私はこの仕事を1980年代からやっているが、とても異なる環境になった時には、また異なる環境になりうることを覚えている。
だから、私が思うのは、インフレが相当長い間トレンドより低かった時には、ある期間トレンドより高くなる確率が相当あるということだ。」

多くのベテラン経営者・投資家が心配するポイントだ。
金融業・投資業で四半世紀のキャリアのある人でも、職業人生の中でインフレを経験したことがない。
現在35歳前後で油の乗り切った銀行家・投資家は、物心ついた時には高インフレは消滅していた。
ディスインフレが正常だと考えるのも当然だ。

ソロモン氏は、再来するかどうかはわからないが、忘れられている重要な時代を2つ挙げている:

  • 1970-80年: 金・原油以外は何も儲からなかった。
    株に投資すれば50%損をした。
  • 2004-06年: FRBは17度に渡って利上げした。

確かにとても気になる時代だ。
ウォーレン・バフェット氏の言葉を表面だけ見て、証券会社の誘惑のまま米国株に取り組む人は多い。
確かに米国株は長期上昇を続けてきたが、10年というホライズンで見れば壊滅的な時代もあった。
また、市場が織り込む将来のFF金利はFOMCメンバーによる予想よりかなり低い。
市場はFRBが必ず救ってくれると信じ込んでいる。
しかし、グリーンスパン・プットが与えられるようになったのは、その前にポール・ボルカーが市場にショックを与えてインフレを鎮静化したことが前提にある。
程度の差はあれ、ショックは起こらない、必要にならないと言い切れるのか。

ソロモン氏の考えは警戒モードに入っているようだ。

それが起こるとは言わないが、人々は歴史を忘れてしまっている。
現在は異なる時期で、また本質的に異なるように見える時期に戻るかもしれない。
用心し、起こりうることの分布・確率に対して適切なリスク管理に努めないといけない。


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