佐々木融氏:米減税のドル円への影響は軽微

米上下両院で別個の税制改革法案が通過したところで、JP Morganの佐々木融氏が同改革の為替市場等への影響を見積もっている。
2008年のドル円はレンジ相場、米国株は小幅上昇と予想している。


「今回の法案が法人税引き下げ重視であり、その他の歳出削減も含まれていることや、キャッシュにさほど制約がない場合でも企業が投資に消極的な姿勢であることを踏まえると(さらに米国経済規模の大きさも加味すれば)、経済成長率の押し上げ効果は2018年で0.25%ポイントにとどまると予想している。」

佐々木氏はReutersへの寄稿で税制改革のインパクトがさほど大きくないと書いている。
JP Morganは同法案による景気刺激策を10年間で約1兆ドルと見積もり、この結論を下している。
これにしたがい米長期金利やインフレに与える影響も軽微とされている。

佐々木氏は同法案のいかんにかかわらず米長期金利上昇を限定的と予想してきた。
税制改革を見込んでもその見方は変わらず「イールドカーブが大きくフラット化すると予想している」という。
金利もインフレも(したがってFRB利上げも)上昇が小幅なら、ドル相場の大きな上昇シナリオとはならない。
従前どおり、佐々木氏は2018年のドル円についてレンジ相場を予想している。
(以前からドルと円がともに安くなると予想していた。)


いわゆるレパトリ減税によるドル高要因も限定的だといい、根拠を2つ挙げている。

  • ヘッジ済み: 米企業が海外に留保する利益はすでに「7-8割」がヘッジ済み
  • 強制みなし配当課税: 今回の減税では実際に米国に利益を送金する必要がない可能性が高い。

後者が本当に実現するなら、なんのための税制改革かという印象が強まる。
トランプ大統領や共和党は何が何でも政府から企業に富を移転したいらしい。
本当にレパトリを図りたいだけなら、減税せずに強制みなし配当課税を課すだけでいいのに。

佐々木氏はリスク・シナリオとして「財政刺激策がFRBの利上げ期待を一時的に高める可能性」を挙げている。
財政インフレが予想されたり実現したりすれば、FRBは金融引き締めを急がされるかもしれない。
こうした期待はドル高要因となりうる。
(この場合、徐々ににリスク資産に悪影響が及ぶ可能性もあろう。)

佐々木氏は2018年末のS&P 500予想を2,800程度(6日終値2,629.27から6.4%上昇)としている。
法人減税がボトム・ラインを直接的に押し上げることを考えると、この上げ幅は極めて小さい。
市場がかなり織り込み済み、かつ、景気刺激効果が限定的と見ているため、株価上昇も控えめに見ているのであろう。


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