佐々木融氏:リスク・オンの円安にならないワケ

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米ドルの弱さが際立っている。
JP Morganの佐々木融氏が、この原因について分析・解説した。


「リスクテーク志向が強い状況下では、円の方が大抵『弱いドル』よりも弱くなり、ドル円は上昇するケースが多い。
だが、今回の場合、これまでの数年間で、ドルは割高な水準まで上昇し、円は逆に割安な水準まで下落していたため、『弱い円』よりドルが弱くなり、ドル円が下落しているものと考えられる。」

佐々木氏はReutersへの寄稿で、リスク・オンの円安ドル高とならない背景を解説している。
同氏は足元のドル安の要因を2つ挙げる:

  • トランプ政権の保護主義的姿勢がドル安圧力となった。
  • 過去数年、新興国から先進国へと還流していたマネーが再び新興国へ向かい始めた。
この2つめがリスク・オンである。
FRBやECBが金融引き締めを匂わせているとは言え、絶対的水準で言えば、世界の金融は異常なまでに緩和的な環境にある。
マネーは割高・割安にかかわらず利回りを求めてさまよう。
結果、リスク・テイク、リスク・オンが優勢になる。

これまでのリスク・オンでは、より緩和的な日本の円の方がドルより調達通貨としての性格が濃く、ドル円レートは円安ドル高となることが多かった。
いわゆるリスク・オンの円安、リスク・オフの円高と言われるゆえんだ。
ところが、今回はこれが効いてない。
「ドルは割高な水準まで上昇し、円は逆に割安な水準まで下落していたため」である。

米ドルの実効為替レート

さらに佐々木氏はFRBの前回の利上げ局面についても紹介している。

「前回のFRBによる利上げ局面(2004年6月から2006年6月)でも、利上げ開始日から最後の利上げ日までのドルのパフォーマンスは主要22通貨中16位で、名目実効レートベースでは5%程度下落している。」

米ドルの実効為替レートと実効FF金利