佐々木融氏:タカ派的な長期金利引き上げシナリオ

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JP Morganの佐々木融氏が、日銀の金融政策正常化のシナリオを提示している。
会社としての予想として提示されたシナリオは、佐々木氏が自ら言うように「最もタカ派的」だ。


まず、生鮮食品を除く日本のコア消費者物価指数(CPI)は、エネルギーによる押し上げ効果の剥落後も前年比プラス1%近辺で推移する。
それをみながら、日銀はイールドカーブ・コントロール政策下での上限を9月に25ベーシスポイント(bp)に引き上げ、12月には50bpに引き上げる。
その結果、年末までに日本国債10年金利は0.6%程度まで上昇。
上場投資信託(ETF)購入額も9月に現在の年間6兆円から同3兆円に引き下げる――。

佐々木氏がReutersへの寄稿で書いている。
整理すると


  • トリガー: 原油価格の影響が収まった後のコアCPIが1%程度
  • 長期金利ターゲット: 9月と12月にそれぞれ25bpずつ引き上げ
  • 年末の長期金利: 0.5%のターゲットの上限0.6%まで上昇、実質では依然マイナス

確かにタカ派的だ。
半分以上、願望が入っているようにさえ感じられるほどだ。
こうしたタカ派的提言に対する反対意見の主なものは、異次元緩和の波及経路の中で最も重要な為替であろう。
日銀が金融引き締めを始めれば、ただでさえじりじりと円高が進む中、火に油を注いでしまうという主張だろう。
佐々木氏は、上記のようなシナリオで金融政策正常化に舵を切っても円高とならない理由を4つ挙げているが、それは原文をご覧いただきたい。

すでに、日米金利差はドル円相場を決める強力な要因ではなくなっている。
海外のインフレ・金利にも上昇の兆しが強まっている。
世界経済が同時拡大しているとされ、世界のリスク資産の市場が強気相場を続けるなら、円はキャリー取引によって先安の圧力を受けることになる。
その時に日銀だけが金融緩和を継続することについては、ますます疑問の声が増えていくのだろう。

現時点で長期金利0.6%というのは想像が難しい。
しかし、米長期金利がさらに上昇してしまえば、感じ方も変わるかもしれない。
とは言えそれも景気次第。
すでに長く継続してきた日米の景気拡大はまだまだ続くのか。
あと数年続くなら、0.6%は意外と遠くないかもしれない。
日銀にしても、次の景気後退期を長期金利ゼロ%で迎えたくはないだろう。


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