佐々木融氏の円安ドル高予想はGS60円予想への弾みか?

JPモルガンの佐々木融氏が、今年6月に向けて114円程度までの円安ドル高を予想した。
中期では円高を予想する投資家も多い中で、これをどう解釈すべきだろう。


「円の(名目)実効レートは12月半ばから1月にかけて円高が進み、年初からその後はずっと円安基調で、昨年末から年初までの円高をほぼ帳消しにしている。」

佐々木氏が7日のテレビ東京の番組で最近の円相場について説明した。
同氏はこの円安傾向をもたらした要因を3つ挙げている。

  • 日本の投資家の外債投資: 年初からの8週間で日本の投資家は4.4兆円と高水準の外債投資を行い、半分ぐらいがヘッジなし(円売り外貨買い)だったと推測されるという。
  • 米国株の上昇: S&P 500と円相場の間には逆相関がある。
    これはリスク・オンの円売り、リスク・オフの円買いという経験則と擦り合っている。
  • 米長期金利の低下: 米長期金利と円相場の間には逆相関がある。
    「先週半ば、米景気指標を受け米金利も上昇し始めたので、それに沿って円安も進み始めている。」
    これは、日米長期金利差が開いて円安になるというイメージと合致する。

日本人の行動と直接結びついている1つめの要因が特に興味深い。
日本人が海外投資に熱心なのは今始まったことではない。
しかし、ここに来てまた外債投資を増やしている。
国内への投資の魅力が相対的に低下しているためなのだろう。
そういえば理解できるものの、少し妙ではないか。


日本でも米国でも、次の景気後退を危ぶむ声は多い。
景気後退ならリスク・オフの円高と見るのが普通だろう。
そういうリスクを見据えていながら、外債、しかも為替ヘッジなしの外債投資を行うのは危険ではないか。
結論から言うなら、投資家はそうしたリスクを取らざるをえないほど困っているのだろう。

皮肉なことに、これはいわば《お国のため》の投資でもある。
日銀が長く続けてきた金融緩和は、民間の経済主体にポートフォリオ・リバランスを促すことで効果を発揮する。
そのリバランスの1つが、円を売って外貨を買うということであるのは間違いない。
しかも、このリバランスは為替ヘッジなしでなければ効かない。
日本の投資家が外債投資を増やしているという現象は、ある意味、日銀がある分野で及ぼしてきたプレッシャーがついに実を結びつつあるということなのだ。

問題は、これが持続可能な円安なのかということだ。
つい最近までみんな円高を恐れ、実際に円高に振れていたのだから。
もしも持続可能でないのなら、これは喩えるなら「積みあがった莫大なレバレッジ」なのかもしれない。
このレバレッジは、最近ゴールドマン・サックスが危機時のドル円相場として1ドル60円を予想した時の根拠である。
仮にそうなら、足元の円安は、そこに向けて(反対側に振れて)弾みをつけているようなものになる。

この日の佐々木氏の予想のホライズンは極めて短期的なものだ。
今年6月までのドル円相場をさらなる円安ドル高と予想している。

年央6月に向けて114円ぐらいまで緩やかに円安が進むのではないか。


 - 投資 ,