住宅市場のロング/ショート・スプレッド:ロバート・シラー

資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、曲がり角に来たように見える米住宅市場について語った。
市場の下落を心配しつつ、逆に上がりすぎた住宅価格の弊害にも目を配っている。


今のブームは2012年から継続しているが、それほどブームというような感じがしない。
大恐慌以来で最大の不況からの回復だったからだろう。
過去のブームに見られたような熱狂感も感じられない。

シラー教授がCNBCで、足元の米住宅ブームの特徴を述べている。
教授は従前から、足元のブームが米史上3番目のブームだと指摘してきた。
これより大きなブームは1942-47年、1997-2006年だけしかない。
しかし、今回のブームにはバブルに見られるような熱狂感がともなっていない。

その理由をシラー教授は自身が行っている住宅購入者に対する調査から推測している。
この調査では、住宅購入者に、今後10年間での住宅価格上昇率(年率)予想を尋ねているのだという。

「2014年あたり以降この数字がかなり低く4%程度となっている。
過去のような『スプレッド』がない。」


シラー教授が『スプレッド』と言っているのは、住宅価格上昇率予想から住宅ローン金利を差し引いた差である。
このスプレッドがプラスなら住宅ローンで住宅を購入してもまあまあ投資としてペイするかもしれない。
(頑丈なつくりの建築なら減価もさほど大きくないかもしれない。)

2004には人々は年12%の上昇を予想し、住宅ローン金利は6%程度だった。
ロング/ショートのスプレッドは6%あった。
それが今はない。
価格上昇予想は年4%で、あまり興奮するようなものではない。

CNBCによれば足元の住宅ローン金利は4.4%。
減価償却を勘案する前に逆ザヤになっている。
シラー教授は、人々が住宅投資に対して興奮していないと指摘する。
これはある意味で健全な変化かもしれない。
そもそも住宅を投機として行うところからサブプライム/リーマン危機は起こったからだ。

「50年遡って、投資としての住宅について尋ねたら、みんな強くNoと答えただろう。
住宅を買って賃借したら、利益を得るのにどれだけ問題を抱えることかと答えたろう。
金融危機の2007年の前の数年がそうだった。
みんな売り逃げようとしたんだ。」

シラー教授は、住宅市場について予想がつかないと断りつつも、市場心理の変化から、やや弱めの予想をしているという。

住宅価格が下落するかもしれないという心配とは裏腹に、シラー教授は住宅価格が上がりすぎてしまった点にも心配している。
世界中で、一般市民が買えない・借りれないほど住宅価格が上昇してしまう事例が存在する。
教授は、これが生み出す格差問題を深刻に受け止めている。

多くの場所で経済的不安定を生み出している。
これは私たちの時代の大きな課題だ。
何ができるかわからない。
不幸なことだ。


 - 海外経済, 投資 , ,