伊藤隆敏教授が予想する出口の順序と時期

日銀の出口戦略はこうなる

番組では、金融政策のプロセスを次の順序で予想している。
無理に言わされた感は否めないが、伊藤教授が一緒に並べた順序だ:


  • ステルス・テーパリング(昨年9月以降)
  • 長期金利ターゲット引き上げ(「データ次第」)
  • 2%物価目標達成(2019年、日銀予想)
  • 消費増税(2019年)
  • 付利(現状マイナス金利)引上げ
  • 日銀のバランスシート縮小

「データ次第」としながらも、長期金利ターゲット引き上げを2019年より前に置いたのが印象的だ。
背景には、現状フラットになっているイールド・カーブを立ち上げるべきとの考えがある。
長期を先に引き上げることで長短スプレッドを拡大させ、金融機関の金融仲介機能を回復させる一助とするためだ。

米金利に注目せよ

長期金利ターゲット引き上げ時期について、伊藤教授はこう予想する。

米金利が上昇する時に、長期金利に上昇圧力が及び、どこかでYCCが0%である必要がないとの判断がなされる。

日米金利がある程度連動すること、連動すれば為替への影響が抑えられることを考えれば、納得しやすい予想である。

導入以来-0.1%に据え置かれている日銀当座預金への付利については、伊藤教授は引き上げは容易との考えだ。

「マイナス金利が適用されるのは新規増分であり、1年経つと0%金利のトランシェに繰り入れられる。
マイナス金利部分は金額として少ないので、現在、実質的に0%金利になっていると考えてよい。
(付利を)0%にしても影響は大きくない。」


風は大きく変わった

当然のことながら、伊藤教授は非常に理に適った説明に終始した。
一方で、以前の出演時とのニュアンスの違いは歴然だ。
前回は、ベン・バーナンキ氏等が唱えていた物価水準目標を導入するなどして、金融緩和を強化する必要があるとの主張をしていた。
しかし、今回は(「データ次第」の結果であろうか)引き締めの話に終始した。
コロンビア大学教授として海外の風を読んだ上での舵の切り方であろう。

10月31日の日銀金融政策決定会合では、現状の金融政策を維持することが決定された。
リフレ派で知られる片岡剛士委員は、長期金利ターゲットとして15年金利を0.2%未満とするよう主張して反対票を投じた。
明らかに風が変わったことを示している。
片岡氏の意見は、量的緩和強化ではなく(超長期の)政策金利引き下げと言うべきものだ。
もちろん、両者は表裏一体と言えなくもないが、過去なされてきた「量」か「金利」かという議論を尊重する限り、「金利」の議論である。
もはやリフレ派の最先鋒でさえ「量」を主張しない(あるいは、できない)状況になったのだ。

伊藤教授が繰り返した「データ次第」という条件は、当面は「米国次第」という概念とかなり重なり合う。
つまり、投資家が注目し続けるべきは、相も変わらず米長期金利なのだ。


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