ウォートンの魔術師ジェレミー・シーゲル教授が、株式に対する強気スタンスを継続し、株式デュレーションに関する興味深い観察・分析を披露している。
とても良い気分だ、本当に。
昨年突然中止になった休暇が遅ればせながら実現してうれしい。
他のみんなも、経済が再開するにつれ数か月のうちにもっと外出を楽しめるようになると感じている。
シーゲル教授が、カリブ海に浮かぶ英領アンギラからウォートン・ビジネス・ラジオに出演した。
これ自体が社会活動・経済が正常化する兆しであろう。
同時に、パンデミックの引き起こした変化やテクノロジーが、パンデミック終了後も人々を少し不幸にするのではないかと心配させた。
以前なら休暇中にリモートで(特に重要な)仕事をする人は少なかったはずだが、その数が急激に増えたのではないか。
シーゲル教授は、自身が8か月前に描いたシナリオが予想どおりに進展しているとし、強気予想を継続した。
一方で、FRBの公式見解の矛盾を指摘している。
FRBの新たなFF金利予想は完全に信頼できない。
6%のGDP成長、2年のうちに3.5%まで失業率が低下するだろうという予想なのに、FF金利はまだゼロのままにするという。・・・
予想に矛盾がある。
シーゲル教授は、最近のコモディティ価格の上昇、バイデン政権の経済政策がまだ始まっていない点など、インフレ圧力が高まっていると指摘する。
市場はFRB予想より高いインフレを予想しているとし、自身も4-5%までの上昇予想を継続した。
「でも、最終的には2-3年で20%ぐらい(訳注: 年率でなく累計。マネーサプライの伸びから出た数字と後日説明。)のインフレになるのだろう。
これは、10年債が1.7%ではなく3%近く(2022年)になることを意味している。・・・
株式に投資しておくべきだ。」
一方、速い金利上昇は、たとえ3%でも市場に脅威を与える可能性がある。
シーゲル教授は、金利上昇が市場を揺るがすと予想するものの、克服できると踏んでいる。
オフセットするだけの企業収益の改善を見込んでいるためだ。
私は、強気相場が25-30 bpのFF金利の引き上げで阻害されるとは思わない。
他にどこに投資するっていうんだ。
もう1つ株式にとってマイナスになりうるのがバイデン政権による増税だ。
シーゲル教授は、確実に増税が行われると信じているという。
ただし、すでに60-70%程度は市場により織り込み済みと見ており、強い経済による強気相場を脱線させることはないと話す。
シーゲル教授の米株式市場の相場観はこうだ。
現在の強気相場はまだ10、12、15%上昇し、その後横ばいになるだろう。
シーゲル教授は中旬のインタビューで、2022-23年の市場が横ばいになると発言している。
10-15%というのは年内の予想のようだ。
これが大きいか小さいかは投資家ごとの感じ方次第だろうが、浮かれて自分を見失えるほどの上げ余地でもないのかもしれない。
シーゲル教授は、ファクター別の金利上昇の影響に関するナラティブの変化を解説している。
以前: 高配当株が悪影響を受け、グロース株はあまり関係ない。
高配当株は債券に似た選好のされ方があり、金利上昇で悪影響を受ける。
グロース株は、金利の影響を受けない強い収益成長力(または期待)を有している。
変化: イールドカーブの長期側中心に金利上昇が進んでいる。
つまり、遠い将来のキャッシュフローに対する割引率が高まる。
現在: グロース株の方が悪影響を受けやすい。
グロース銘柄の価値は、遠い将来のキャッシュフローに依存している。
シーゲル教授は、現在、高配当株などにも金利上昇で売られる傾向が見られる点について、以前のナラティブが少し残っているためと推測している。
それでも、高配当株が望ましい投資先との考えを変えていないようだ。
私たちの研究では、インフレ期を通してみると、高配当株はインフレを克服することがわかっている。
つまり、インフレ以上に配当が引き上げられ、もちろん通常の債券ではありえない。・・・
しかし、繰り返しだが、企業収益の急上昇が実質的にすべての株式にとって支配的要因になるだろう。