ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、社会や経済主体を区別することの重要性を説き、市場に反映されている区別のロジックを解説している。
今は大きな不確実性、大きなリスクの時であり、3つのことが重要だ:
分散、流動性、区別だ。
ダリオ氏がBloomberg主催のオンライン・フォーラムで、今の投資活動にとって(そして事業全般にとって)重要な3つのポイントを説明した。
以前は「分散、分散、分散」と言っていたこともあったが、今回はもう少しバラエティのある内容になっている。
ダリオ氏が挙げた3点とは:
- 分散: 伝統的な資産クラスだけにとどまらず、うまく分散することで、チャンスを減らすことなくリスクを低減できる。
準備通貨を含む通貨、資産クラス、国について分散すること。 - 流動性: 環境変化に応じて変化できる柔軟性を確保すること。
- 区別: 秩序ある世界と無秩序な世界を区別しろ。
まず、財務諸表において収支のバランス、資産/負債のバランスとしてその差は現れる。
次に、貨幣増発の受け手になるかどうか。
さらに、ウィルス対応も含め、社会・政治が秩序をもって機能しているか。
今回ダリオ氏は「区別」を最重要事項だと話している。
つまり、分散するだけではなく、それぞれの構成要素について能動的に優先順位をつけるべきということのようだ。
これに関連して、ダリオ氏は、債券についても株式と同様PERを意識し、両者を比較すべきという。
現在の長期債の利回りを仮に1%程度とするなら、その倍率は100倍になる。
これを株式のPERを見る上で意識すべきという。
投資家は株価倍率を債券の倍率と比較しなければならないため、中央銀行がシステムに流動性を供給し、その流動性によって倍率を押し上げる能力は強力だ。
それはまた、借金の経済を変えてしまう。
何かゼロより大きな(リターンの)モノが見つかるなら・・・それがレバレッジをかけるよう変化を促す。
当面金融引き締めはない、つまり低金利が続くと予想される中で、投資家の注目は資産クラス間(、セクター間、ファクター間)の比較に重点が置かれている。
債券が超低利回り(=高倍率)なら、債券より少しでも倍率(PER)がましな株式に目が向かうのは当然だ。
しかし、株式も低利回り(=高倍率)には変わりない。
一方、借金の金利は低い。
そこで、レバレッジをかけて利回りを高めようという考えが生まれてくる。
低利回りのもの、それゆえに相対的に価値が下がると予想されるモノに投資してはいけない。
そういうものは保有する対象ではなく、逆に借りる対象であるというのが一応の理屈なのだ。
債券や現金を保有してはいけない。
資金調達のために莫大な債務、莫大な貨幣が生み出されている。
ダリオ氏は、現在こうしたダイナミズムが存在するがゆえに「割高なモノの限界を反映するものとして古い倍率を用いるべきではない」と話す。
株式のPERが多少高いからといって、下がるとするのは早計だといいたいのだ。
また、ダリオ氏は、債券から株式へのフローが生じているのと同様、中国への資金フローも生じていると指摘している。