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今起こっていること、これから起こること:レイ・ダリオ
2020年9月18日

ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏が、現在進行中の現象のロジックを示し、将来起こる現象を暗示した。


財政赤字が増え、貨幣増発と資産買入れが起こると、それが実質利回りを押し下げる。
その結果、お金を代わりとなる資産に駆り立てる。
債券には需給の問題が起こる。
1933年のルーズベルト大統領と同様に、中央銀行が最終的に貨幣増発を行うと、それが金融資産の価格を押し上げ、経済を支え、債務の実質価値を減らす。

ダリオ氏がBloombergで、現在進行中の経済・市場の変化を端的に解説した。
今起こっている段階は2行目だろう。
今後「債券の実質価値」が減っていくなら、クーポンのつかない現金はもっと不利ということになるのだろう。

ダリオ氏は、どの程度の期間の話か明示しなかったが、ドルが世界の準備通貨でなくなる脅威が存在すると話した。

脅威は存在する。
それは進行するタイプのプロセスだ。
今は現状の通貨の中に良い代替物がない。
3大準備通貨は同じ基本的問題を抱えており、大手機関投資家は代わりとなる通貨に必ずしも逃避していない。

どれもこれも他の準備通貨に魅力がないから、ドルがNo.1の地位を維持できている。
結果、人々は通貨以外に価値の保蔵手段を求めている。
株式、金など、価値の保蔵手段になるかもしれないものが買われ、あるいは買われているものが価値の保蔵手段として期待されてしまう。

ダリオ氏は、通貨離れに警戒する。

「行き過ぎれば、実際そうなっており、リスクが生じれば、とても危険だ。
通貨防衛のようなものになる。・・・
仕組みからすれば、通貨から退避するとは、金利が上昇し経済を苦しめるか、債務買入れを増やすかを意味し、これがスパイラルを生じさせる。」

元の主因が貨幣増発にあるのに、通貨防衛の目先の手段も貨幣増発になってしまう。
これが問題をより深刻化してしまう。

こうした人生でそう何度も経験しそうにないリスクを抱え、投資家はどう身を守ればいいのか。
ダリオ氏のアドバイスはブレない。

私たちは大きなリスクの時代にいる。
最も重要なのは、うまく分散することだ。
良いバランスを実現するため、資産クラス、国、通貨を分散することだ。

ダリオ氏は、互いに競合する資産クラスが「ほぼ等しいリスク調整後期待リターン」を有しているとし、分散にはコストが伴わない点を強調する。
これまで米国株中心に運用してきた投資家に対し、外国株・金・物価連動債などもポートフォリオに組み入れるよう奨めている。
3つとも、少なくとも後2つはインフレ・ヘッジの意味合いが強いのだろう。
ダリオ氏は投資家の先入観の危険性を説いている。

「1つとても危険なバイアスが存在する。
それは、最近経験した過去が将来も起こるというバイアスだ。」

最後に、苦戦が伝えられる今年のブリッジウォーターの運用成績について尋ねられると、率直・一生懸命に、かつ強気を崩さず、敗戦の弁を語っている。

「今年はこれまで悪い年になっている。
オールウェザー・ファンドは数%上昇したが、ピュアアルファ・ファンドは15%下落している。
わが社はこれまで大きな停滞を経験せず、毎年プラスだった。
いつかそういう日が来るとわかっていた。
パンデミックにうまく乗れずに下げたというのが現実だ。」

オールウェザーはうまく分散する投資であり、ピュアアルファは山を張る投資だ。
ピュアアルファの不調は、山が外れたことを意味する。
もちろん過去の驚異的なブリッジウォーターのトラックレコードを見れば、たった9か月でどうこう論じるのは適切でないのだろう。
ダリオ氏がこの数年言い続けてきた構図は、基本的には正しく見えるし、市場のナラティブになっているように見える。
つくづく、投資とはタイミングであることを思い知らされる話ではないか。


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