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今月追加利下げ、短期金利はゼロへ:ジェフリー・ガンドラック

債券王ことダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏が、米金融・財政政策について話している。


「私はこの分野(伝染病)の専門家ではないが、状況を見ていて思うのは、確実にみんなが考えているよりこれが大きな問題になるだろうということだ。
・・・この分野の専門家の文章を読んできたが、彼らは事態をとても警戒している。
・・・市場は明らかに(リスクを)織り込みつつある。
状況についてのコンセンサスがどうあれ、実際はそれより悪い。」

ガンドラック氏がCNBCで、新型コロナウィルスを取り巻く状況について警戒した。
同氏は、状況がずるずると悪化してきた点を指摘、今後さらに悪化しうるとの印象を与えた。
ガンドラック氏は、リスク管理を徹底する必要性を指摘している。

ガンドラック氏は金融・財政政策の方向性についていくつか予想している。
日頃は金融緩和について慎重なガンドラック氏だが、現在の状況においては利下げも正当化されると話している。
早期に状況が好転するとも考えにくく、FRBは今月のFOMCでさらに50 bp利下げするだろうという。

「歴史を紐解けば、FRBがパニックでFOMC以外での利下げ、特に50 bpの利下げ-パニックの時の通常-を行った時には、かなり早く、次回のFOMCにでも利下げするものだ。
だから、私もFRBは再度、2週間後(FOMC)にでも利下げすると思う。
短期金利はゼロに向かうだろう。」

財政政策については、短期と長期で妥当性が違ってくると指摘している。
長期については無駄に借金を増やすことになるという。

「率直にいって、財政刺激策は長期的には意味がない。
米国の債務拡大ペースはGDPの6%を超えている。
これは名目GDP成長率より高い。」

国家債務を増やして財政刺激策を行っても、債務の増分もGDPが増えないのだ。
これは政策が単なる富・所得の移転で終わっていることを示唆し、かなり非効率な刺激策となる。
だから、長期的には「意味がない」となる。
しかし、たとえ長期的に意味がなくとも、短期的な景気の落ち込みに対処する意味はあろう。
ガンドラック氏は、その場合、ターゲットを絞った政策を工夫すべきという。

「もしも短期での対処をしたいなら、財政刺激策は意味がある。
短期での対処をしたいなら、中間層の減税をやればいい。・・・
直接支出に向かうか、人々の恐怖によっては少なくとも借金返済には回るだろう。」

ガンドラック氏は、消費性向の高い中間層をターゲットにすべきと主張する。
トランプ政権が個人向け減税やブッシュ(Jr)政権のような支給金を実施する可能性があると述べている。

ガンドラック氏はFRBによる利下げをやむを得ないものと考えている。
しかし、そうだとしても、今利下げすることは次の景気後退期の利下げ余地を失うことになる。
過去の景気後退期5%程度必要だった利下げ余地だが、すでに現在のFF金利は1.00-1.25%しかない。
ガンドラック氏は、次の景気後退期におけるFRBの主たるツールが、パウエル議長の発言どおり、量的緩和になると予想している。
そして、その規模はかなり大きくなるのだという。

「かなり大規模なものになるだろう。
財政刺激策だけでなく、社債市場の悪化への対処についてもお金をつける必要があるからだ。
社債市場の悪化は、米経済全体にとって極めて大きな問題になるだろう。」

興味深いのは、財政赤字のマネタイゼージョンが当然のことのように語られており、そこが議論にならないこと。
過去には禁じ手とされてきた手法が今や当たり前のようになった、あるいは人々の感覚がマヒしてしまったようだ。
もう1つ興味深いのは、ガンドラック氏が、次の景気後退期の危機の中心が社債市場になると考えていること。
カーライル(PEファンド)出身のパウエル議長は社債の重要さを熟知しており、これまでの利下げでも社債市場のクランチへの対処が見て取れたのだという。

FRBに対しては常々厳しい言葉を使うガンドラック氏だが、マイナス金利に対するFRBの姿勢には度々称賛している。

ジェローム・パウエル議長は、マイナス金利が世界の金融システムにとって致命的なものであることを理解していると思う。
米国がマイナス金利になれば、大きな資本の混乱が起こる。
日欧のマイナス金利を耐えられたのは、マイナス金利でない米国があったからだ。

米国がマイナス金利になれば、世界のマネーは重要な行き先を失いかねない。
諸外国が基軸通貨国に投資する構図はある意味で必然だった。
仮に基軸通貨国の資産のスイートナーが失われれば、世界のマネーに何が起こるだろう。


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