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今年の米国株市場に年末ラリーはあるか?

米市場のアノマリーから言えば、第4四半期はよい四半期だ。
しかし、今年は違うという弱気派が現れた。


第4四半期の上昇の確率はかなり低下している。

モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏の予想をBloobmergが伝えている。
米市場の月別のアノマリーから言えば、第4四半期はよい季節だ。
投資家は年末ラリーを期待する傾向がある。
ウィルソン氏は、このアノマリーに基づく現時点でのコンセンサスが期待外れに終わるだろうと言っているのだ。
理由として「上昇する銘柄がどんどん少なくなっている、警戒時に好まれるファクターが牽引している、業績予想修正が弱くなっている、消費者と企業の信頼感が低下していること」を挙げている。

当たり外れだけで評価すべきではないが、過去3か月ほどウィルソン氏は弱気スタンスを主張し、市場もそうした展開となった。
長期金利が上昇し、NASDAQに続いてS&P 500も調整圏内(10%以上の下落)に入っている。

一方、ウィルソン氏の予想に反対意見を唱えたのがジェレミー・シーゲル教授だ。

「過去25年についてデータを見返すと、11月は最もよい4月に少し遅れて2番目によい月だ。
私は年末ラリーがあると考えている。」

シーゲル教授は、過去の経験則から年末ラリーがあると予想した。

経験則どおりになるか否かという議論にはあまり深みがあるとは言えない。
方や例外を唱え、方や原則通りを唱えているだけだ。
もう少し本質的な議論はどうなのだろう。

弱気のウィルソン氏によれば、利上げの経済への影響は始まったばかりだという。
また、米財政についての議論を見る限り、財政刺激策に期待できる状況でもない。
同氏は、企業収益への市場期待は高すぎると見ている。

強気のシーゲル教授は、金利上昇に対し恐れてさえいない。
最近の実質金利上昇は2024年の経済成長に対する期待の高まりによるものと解釈し、それにともなう業績改善も実現すると強気だ。
金利上昇が利益の足を引っ張ることはなく、2024年はグロース株がよくなると予想した。
その他、あの手この手で強気予想を強弁している。

ただ、最近のシーゲル教授にはしばしば世間で言う弱気を感じさせる瞬間がある。
この出演でも何度か深読みしたくなる点があった。

  • 冒頭の一言は「長期で株に強気であることは常に割に合うものだ」というもの。
    では、短期ではどうなのか。
  • 「10年債利回りはピークにかなり近い。
    おそらく5.25%あたりだろうが、まだその水準になっていない。
    PERが1桁になるようなことは、その時だけだろう。」

シーゲル教授の強気発言とは、あくまで《長期ならばいつ買っても大丈夫》といったものなのだろう。

シーゲル教授は明日までのFOMCについては従前の予想を変えていない。
利上げは見送られ、12月についてもオープンなスタンスを続けるだろうという。


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