海外経済 投資

今回は違う:ビル・グロス
2022年4月5日

ビル・グロス氏が、超長期の金利低下局面が終わりつつあるとし、市場の禁句「今回は違う」を口にしている。


私はパウエルFRB議長とは違って、とても心配している。

グロス氏がYahoo Financeで、米経済の先行きについて警戒した。
イールドカーブのフラット化、インフレや原油価格上昇、ウクライナ情勢、中国のパンデミック再発などを心配した。

FRBや市場につきつけられた質問は、中立金利がどこにあるのか、ということ。
短期の中立金利、5年、10年の中立金利がどこにあるのか。
現在のインフレ、来年・再来年のインフレ予想に基づいて答えるのはほぼ不可能だ。

グロス氏は経済・金融政策の先行きを予想する上での難しさを述べている。
仮に将来の金利を予想したとしても、重要なのは中立金利との比較であり、中立金利がある程度の精度でわからない限り経済への効果を測るのは難しい。
さらに、両金利の予想にはインフレの予想が欠かせないが、これが大きく変化しうる。
グロス氏は、12か月後にFF金利が2%前後になるとしても、それが景気刺激的か抑制的かが重要で、FRBもその答を持っていないだろうという。
そういいつつも、長期金利が3%を超えれば(サブプライム/リーマン危機のようなことはないだろうが)経済を鈍化させ、さらに景気後退を引き起こすかもしれないと話した。

米国株市場について尋ねられると、グロス氏は、過去数十年の強気相場のうち30%ぐらいが低金利によるものだとし、今後金利低下からの反転が起こる中で逆風を受けるようになると予想した。
ただし、当面はまだ金利が景気刺激的な水準にあるとして、最後になるかもしれないものの上昇が継続すると予想した。

金利反転について、ボルカー・ショックのようなことが起こるかとの問いについて、グロス氏は起こらないと答えている。
FF金利が3、4、5、6%と引き上げられれば、当時よりレバレッジのかかった金融市場が耐えられないとの分析だ。
同氏は、3%を大きく超える利上げは不可能と予想した。

グロス氏は、7-8%、それ以上のインフレが継続するとは考えておらず、今後数年は4-5%になると予想した。
ボルカー・ショック前とは程度が異なるが、スタグフレーションと呼ばれる状況になるという。

グロス氏は、金利低下が続いたこれまでの数十年について強気相場が繰り返したことを半ば当然と見ている。
モメンタムや群衆に逆うような売買をするのは難しく、強気相場では買いが正解だった。
たとえ下げた場合でも押し目買いが報われてきた。
同氏は、若い世代がそういう市場しか経験していないと話す。

そう、『今回は違う』と言おう。
ミレニアム世代などの人々が消極的・弱気になるかは少し時間がかかるだろう。
彼らは単純に株が上がり、2桁リターンが得られると考えている。
どうなるか注目しよう。

かつての債券王は2012年頃、超長期の金利低下局面が終わり、反転すると予想したことがある。
今回と同じトレンド転換予想だった。
リーマン危機後の異例の金融政策もあり、経済が危機を脱出したため、金融政策が正常化に向かうとの予想だった。
しかし、この予想は新たなラウンドのQEで阻まれ、それが債券王の称号剥奪のきっかけの1つになった。

そこから金利はさらに深く沈み、グロス氏が再び反転予想を述べている。
ただし、今回は緩慢な反転が予想されているように見える。
みごと的中となるだろうか。
もしそうなれば、リスク資産はしばらく厳しい時期を迎えることになる。


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