投資

今やってはいけない最大のミス:モハメド・エラリアン
2020年11月22日

アリアンツ首席経済アドバイザー モハメド・エラリアン氏が、挽回不可能なミスを回避するためにポートフォリオをボトムアップで見直すべきと説いている。


私がPIMCOにいた時、新規投資を見る場合にはもちろんファンダメンタルズをもとに評価をした上で自問した。
『誰がPIMCOの後に買うのか? 次の買い手は誰か?』
次の買い手という質問において、次の買い手が輪転機を持ちそれを使う意思のある中央銀行ならば、信じられないぐらい安心だ。

エラリアン氏がInvestopediaのインタビューで、世界最大の債券ファンドPIMCOのCEOを務めていた当時のことを回想している。
次の買い手が決まっている、それが中央銀行であるとは、長く続いたFRBプットのことを言っている。
今や投資のエグジット戦略は(直接・間接の)中央銀行への売却だ。
しかも、困ったことになるたびに、中央銀行は律儀に買い上げてくれる。
こうした市場では、投資家は安心して買い上がれるようになる。

「だから、すべての資産価格が実体経済から乖離していても、私は驚かない。
中央銀行は、経済のチャネルではなく、資産のチャネルとしては強大だ。」

実体経済を刺激するのに(特にゼロ金利まで来たような場合)中央銀行は優れたツールとはいえないかもしれない。
しかし、資産価格を押し上げるのには絶大な効果を及ぼす。
だから、中央銀行が頑張れば頑張るほど、実体経済と市場の間の乖離は大きくなっていく。

エラリアン氏は、個人投資家へのアドバイスを求められると、最大の強みが最大の弱みにならないように注意すべきと話している。
「最大の強み」とは資産クラス間の相関の崩壊だという。
2019年以降、いくつかの期間を除いて、ほぼすべての資産クラスが同時に上昇したという。
リスク資産と無リスク資産が同時に儲かったという。
エラリアン氏はこの現象をすばらしいこととしながら、常態ではないことを理解すべきだという。
さまざまな相関・逆相関が戻るのならまだよいが、順相関のまま大きく下げるようなら、被害は大きくなるだろう。

「今巷で最も議論されているのは、60:40ポートフォリオがまだ有効か否かだ。
そこからわかるのは、リスクを和らげるのが容易でないということ。
それこそ投資家にとっての最大の課題だ。」

もしもこのままリスク低減の難しい環境が続くなら、1つのミスでも傷が大きくなりかねない。
だからといって、エラリアン氏は、すべてを現金に配分する必要もないという。
かわりに、重大なミスを絶対に犯さないよう徹底すべきだという。

「現在、投資におけるミスのほとんどは長い期間の中で挽回可能だが、そうでないものもある。
挽回不可能なミスとは何か?
資本減耗、倒産、抜本的再編だ。」

こうしたミスを犯さないために、エラリアン氏はポートフォリオをボトムアップ(個別銘柄ごと)で見直すよう奨めている。
保有銘柄について次の確認をすべきという。

  • 「保有銘柄は圧倒的に頑強な銘柄か?」
  • 「それらは強いバランスシート、異なる世界環境に対応できる俊敏な手段、柔軟な考えを可能とするある程度の認知の多様性を有しているか?」

世間はいまだウィルス伝染拡大について予断を許さない緊張した状況にある。
その一方で、ワクチンや治療薬の開発で明るいニュースも増えてきた。
先読みをしたがる市場にも明るいムードが漂っている。

そうした中で、エラリアン氏はまだ警戒を緩めていない。
発行体によってはデフォルトや破綻が起こりうると考えているのだ。

これらのうち少なくとも2つ、特に頑強さと俊敏さを持っている限り、夜安心して眠れるはずだ。
そうならばボラティリティなしで済ませられるかといえば、そうではない。
しかし、短期的にポートフォリオでミスを犯してしまっても、長い時間のうちに回復可能だろう。


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