ハワード・マークス

 

今は8回、守りを固めろ:ハワード・マークス

Oaktree Capitalのハワード・マークス氏が、景気・市場サイクルについて話している。
現在は終わりに近く、防衛的なスタンスをとるべき時期だという。


私は(野球で言えば)8回だと確信している。
困ったことに、私は数年間こう言い続けている。

マークス氏が4月29日のインタビューで景気・市場サイクルにおける現在の局面を野球にたとえて8回と答えている。
残すのは最終回のみ、つまり、市場の下げが近いという意味だ。
確かに、マークス氏は昨年、景気後退に備えて約85億ドルのディストレスト債ファンドを用意したと明かしている。

同氏は近著のテーマをサイクルにしたとおり、サイクルを読むことが投資にとって極めて重要と言ってきた。

(参考: 【書評】市場サイクルを極める

マークス氏はオークツリーの仕事を2つのカテゴリーに分類している。

  • 資産選択: 良いパフォーマンスを上げるだろうものの保有を増やし、劣ったパフォーマンスとなるだろうものの保有を減らす。
  • サイクル・ポジショニング: 有利な時により積極的に投資し、不利な時により防衛的な投資を行う。

後者の検討が現在を8回と言わせているのだ。
マークス氏は、将来を予想することで何回かを予想するのは不可能だという。
そうではなく「サイクルのどこにいるかを理解する」ことで可能になると話している。

しかし、サイクルの達人 マークス氏であっても、サイクルについて読めないこともある。
それは、史上最長に並んだ景気・市場サイクルの長期化だ。

1年ぐらい前、私はこれが野球の試合ではないことに気づいたんだ。
つまり、この試合は何回まであるかわからない。
野球なら8回と言えばある程度意味がある。
普通の試合は9回までだから。
でも、投資では9回までか11回までか13回までかわからない。


景気サイクルがかつてより長期化している。
それは、何とか景気を支えようとする金融・財政政策と無縁ではなかろう。
とりわけ今回は、かつて禁じ手であった非伝統的金融政策が動員され、サイクル終期に財政政策まで打たれている。
これが延長戦を生み出した一因だろう。

マークス氏は「8回」という表現にいくつか明確な意味を滲ませている。

「8回という表現は、始まりよりは終わりに近いと考えていることを意味している。
金融緩和が行われたと考えていることを意味している。
投資家にとって中期的な最重要の意思決定が『今は攻撃的にいくべき時か、防衛的に行くべき時か』であると考えていることを意味している。
『8回』という発言は、今が防衛的に行くべき時であることを示唆している。」

では、防衛的になるべき時にオークツリーはどういう行動を選んだのか。

私たちは資産の分散を選択しなかった。・・・
私たちがやったのは、すべてを投資したままで、通常でない水準の警戒を維持するということだった。

これについてマークス氏は詳述していない。
おそらく、有利でない分野にまで投資を分散はしない、リターンを放棄してリスク・テイクをやめることはしない、という趣旨なのだろう。
マークス氏は、現在の投資難を滲ませる。

「世界中探してもバーゲンはない。
タダでもらえるものはなく、本質的価値より安く買えるものもない。
だから私たちは最も悪くないもの、最も割高でないものを探している。
未公開のクレジット、大都市以外の不動産、新興国市場などだ。」

マークス氏は、多くの投資家が似たような分野を挙げているとし、良い投資先を他の投資家より先に見出し投資することが肝要と話している。

オークツリーのアジア事業拡大について尋ねられると、長い目で見てアジアが有望な市場であると話している。

特に私たちは多くをクレジットに投資している。
10-12年前はアジア経済は債務主導の経済ではなかったが、今では重要になっている。
だからもっと重点を置くべき時になったと考えたんだ。


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