海外経済

今は顕在化しなくても、次の・・・:ジェフリー・ガンドラック

新債券王ことDoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、米経済・市場のリスクを2つ挙げている。
これらは足元では顕在化しないが、景気後退期に大きな問題になるという。


「長期的にはこれらのことは大きなリスクになる。
短期的にはリスクがたいしたものでなくても、とても大きな問題なんだ。
大切なことは、次の景気後退というホライズンでやってくる問題について考えることだ。」

ガンドラック氏がYahoo Financeでリスクへの備えを促した。
米経済には心配のタネがいくつかある。
まだ経済が持ちこたえている足元ではタネはタネでしかないが、経済が鈍化・悪化へと向かえば、リスクは顕在化しかねないという。
ガンドラック氏は2点、心配すべき点を挙げる。

最大のリスク、それはしばらくは顕在化しないかもしれないが、次の景気後退がやってきた時、社債市場が異常にレバレッジがかかっているために大混乱になることだ。

ガンドラック氏は以前から、米社債市場について警戒するよう促してきた。
BBB格の銘柄でもジャンク債なみのレバレッジがかかっていること、投資適格社債の信用度が悪化していることを理由に挙げていた。
足元では市場環境は一息ついたようにも見えるが、景気が悪化すれば格付低下と金利上昇が逆風になるという。

ガンドラック氏のもう1つの心配事はいずこも同じ公的債務問題だ。
すでに社会保障負担の増大が問題となっていた中、トランプ政権は大幅減税と歳出拡大を実施し、米債務拡大は一層加速した。
ただし、これも経済が成長しているうちは問題が顕在化しにくい。

もしも米債務が実質3%成長だった2018年度に実際そうだったようにGDPの6%のペースで増えるとしたら、景気後退期の間、債務はどれだけ増えることか。
典型的には、債務対GDP比率は景気後退期、約4%ポイント上昇する。
だから、米国が通常の平均的な景気後退に入った場合、国家債務は約10%の年率で増えると示唆される。

米国では、従来は小さな政府を求めてきた共和党も、従来から歳出拡大を厭わない民主党も債務拡大に無頓着になっている。
しかし、ガンドラック氏は「明らかに大問題」と話す。
最近の環境変化はガンドラック氏をすっかり《債券自警団》の側に寄せたようだ。

ガンドラック氏の2つの心配は、いずれも米債券市場の軟化につながるものだ。
同氏は今後、莫大な金額の投資適格債・ハイイールド債・銀行ローンがリファイナンスの時期を迎えると指摘する。
この時に、過去のゼロ/低金利時代と同程度の条件でリファイナンスが可能とは考えにくい。
そして、もう1つ大きな需給悪化要因がある。

量的引き締め政策とは、過去の財政赤字の間に流通することのなかった債券の発行を意味する。

現在進行中の量的引き締め(=バランスシート縮小)とは、FRB保有の米国債等が償還を迎えた時、再投資を(一部)行わないということ。
米債市場で最大の買い手であったFRBが購入を縮小することを意味する。
過去のFRBに変わるようなクジラが現れない限り、債券市場の需給の悪化要因となるのは逃れがたい。

これは言い換えれば金利上昇要因だ。
景気後退期には実質金利は低下するものだから、つまりはリスク・プレミアムの拡大を示唆する。
これが資産価格に不利に働くのは言うまでもない。


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